※下に行くほど新しいです

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深き郷愁覚えし声の響
懐かしきは愛しき君の声なりて
振り向き手招く我の心
しかし消え行く幻影成りて
君は今亡き幻想と化す
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君に会わましかば、我が心痛まざらまし
(もしも君に会わなかったなら、私の心が痛むことも無かったのに)
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君に会いたい、何処に居るの?
鳴り響いた電話は誰も取らず――
寂しいよ、早く君の側に連れてって
君は僕の元には現れず――
苦しいよ、心が痛いよ
何時の間にか僕一人――
死にたいよ、嫌だよ
ねえ、早く来て? 今なら間に合うよ――
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僕の全てが君だったと悟った時、時既に遅し
君の亡がらの上に、僕はスイートピーの花を添えた
もう君は居ないというのに、僕は君を忘れる事が出来ないから、この花を君に贈るのだろう
透けるような花びらの上に乗っている水滴は、僕の涙なんかじゃない
出来る事なら、それが君の涙であればいいと、心の中で思っていた
だって、涙を流すのは生きている人の証だから
僕はしばらくの間、君が生きているのだと思い続ける事になるだろう
(それは人の証)
抱き締めて?キスをして?私を独り占めにして?好きと言って?
優しく撫でて?貴方だけで満たして?私だけを見て?ねえ、ねぇねぇ…
君の愛は、僕には重すぎて
なんで?何処行くの?どうして?好きだったんじゃないの?
やりなおそう?貴方だけなの!貴方を失ったら私はっ…ねぇ、どこに…
寂しそうな君を置いて、僕は一人、ネオンで溢れる町へ出た
(君の愛は、僕には重すぎて)
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君の優しさは僕には辛すぎてその笑顔は僕の心を焦がした
美しいその声は僕を魅了して、愛しげな表情は僕を惑わす
だから僕は道を踏み外さないように、何時も心掛けなくてはならない
愛しいが故に、優しさ故に
僕にできる最大限の愛情を君に
(その全てが僕を狂わせるトラップのようで)
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全てが凍りついた
地球上で最も凝固し難いヘリウムでさえも
もしくは凝固する事など無い僕の心までも
全てが凍り付いて麻痺してしまった
元をたどるならばそこには一体何があるという?
君が言っていた「絶対零度の微笑み」とはこの事なのか
(絶対零度の微笑み)
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薄ぐらい部屋の中で二人して狂う様にドラックに浸る
誰だって現実から逃げたい時はあるものさ
僕らだって現実は好きじゃない
「ねぇ、私たちどうなるの?」
汚染された脳で、耳で、目で
僕は悲しみに明け暮れた君の瞳を見つめた
(君が狂う前に止めたい)
でも、薬を吸う手がとまる事は無く
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水の囁き
彼らは静かに清らかに、美しく流れ行く
しかし時には怒涛の如くすべてを奪い去る、激しき怒りと化す事もあるのだ
彼らは静かに、その時を今も清らかな流れの中で待ち続けている
それはまるで、静かなる水の囁き
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猫は長く美しい尻尾を持て余し、目の前の少女へと優美に言った
「私のようになりたいかい?」
少女が一つ頷けば、猫はその長い尻尾を少女へと勢い良くぶつける。
軽い脳震盪の後、少女は黒猫へと、黒猫は少女へと代わっていた
「私のようになりたいかい?」
黒猫は、問う。
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「この谷から飛び降りたら、全てが叶うと言われているんだよ」
男は女を崖の端へと追いやった
女は崖の下を見、恐れ戦きながら、ふと武装組織アルカイダの事を思い起こす
神の為だといわれ、もしくは自ら突っ込んで行き死せば天国へ行けると言われて死んでいったアルカイダの人間たちの事を
もしかすれば自分も彼らと同じく、一つの主従関係の元で逆らえぬ命令により、蠢いている悲しき運命の落し子ではないかと、その時女は思った
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昔、金を要求される側の方が悪いと言っていた男がいた
そいつは銀行強盗と同じぐらい重い罪を侵してやがる
働いてもネェのに大金を持っているから、簡単に察に嗅ぎつけられて、今では牢獄の中で泣きべそ掻いているってよ
情けねゼ、バカヤロー
オレはお前の事を買っていたのによ、いくらお前からオレオレ詐欺で金ふんだくられても
オレは察には何も喋らなかったぜ
誤解しちゃいけねぇよ、オレはただお前の心に魅了されただけ、
お前の周りを飛び回る、美という奴を食らう蛾に過ぎねぇんだ……






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