* お題他 *

□『バカップルへ30題』
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倉亮。アマアマv
ふたりはきっとバカップル。





* 08. 甘いもの *






亮介さんは意外と甘党だ。
顔と声は甘いけど、ピリっと辛い性格から味の好みも同じだと思われてっけど、そうでもない。

亮介さんは、ああみえて、甘党。
だからウチの部屋にはでかでかと俺の名前が書いてあるチョコだのクッキーだのが結構ある(名前書いとかねぇとナマイキな後輩が食いやがるから)

そうすっとさ、夜たまーにあの人が「おなか空いた。なんかある?」ってタカリにくんだ。
それは素直じゃないあの人が俺に会いに来くる口実…なんて言ったらぶっとばされっから絶対言わねぇけど。
でもさ、そういう照れ屋で素直じゃないトコも可愛いんだよな。


まぁそんなんもあって無くなるたびに補充して、今日もたまたまそんな日で、更に珍しく二人きり。
増子先輩は御幸の部屋に寝に行ったし、沢村は純さんのパシリでコンビニに行った。

俺はと言えばクリア直前のゲームもそっちのけで、ポッキーを齧りながら雑誌に目を落としてる亮介さんを気にしつつ、テレビなんぞ眺めてる…って殆ど見ちゃいねぇけど。
だってよ、こういう時の亮介さんは無防備で、そういう素の部分を発見すんのが俺の密かな楽しみだったりするわけだ。

しょっぱい系の菓子より甘いものを選ぶのを知ったのもここでだし、うつ伏せで雑誌を読むとき足をプラプラさせんのもそう。
気を遣ってないようでいて10時前には必ず戻るし、二人っきりになるとあんま喋らないしいつもの笑顔もそんなない。
たまに疲れて寝ちまう時の歳よりずっとあどけない顔とか、集中してるとストローを齧る癖とか、それからそれから、



「さっきから何ニヤニヤしてんの?」


俺が知る亮介さんを数えてたら、ついニヤけちまったらしい。当人が寝転がったまま見上げてた。
やべぇ、こんなこと考えてたってバレたら、それこそ殴られるだけじゃ済まねぇよ。



「いや何でもねっス」


身の危険を感じてハハ、と取り繕うと、唇を尖らせた亮介さんがにじり寄って来た。ほんと勘がいいよな、って思ってるうちに頬を軽くつねられる。


「イタタ、痛いですって」

「どーせくだらない事考えてたんだろ?」

「んなことないですってば〜」


亮介さんにとっては正解かもしれないけど、俺にとっては不正解。
くだんなくねぇよ、亮介さんの事だもん。

へらへら笑う俺に呆れたのか、亮介さんは「あっそ」と手を振って新たな一本を口に銜えた。
ポリポリ美味そうに齧っていくハムスターみてぇな口許を見てたら、無性に俺も食いたくなる。


「亮介さん、俺にも下さい」

「ヤダ。最後の一本だし」

「えー!んじゃ半分こしましょーよ」

勿論両端から、と心の中でつけたして、ニヤっと笑えば亮介さんが動きを止めた。


「…もしかしてお前、ポッキーゲーム期待してない?」

「バレました?」

「絶対やんない」

ポキン!


「ああー!」


両端から銜えて最後にチュー、という夢のシチュは亮介さんの口の中に敢え無く消えた。
食欲よりそっちの方がガッカリだけど、このヒトに限ってそんなイチャイチャありえねーか…。

解っていても残念な気持ちが先立って、俺は租借する綺麗な口許を恨めしげに見ちまった。


「亮介さんってホント甘いもの好きですよね〜」

「だったら悪い?」

「悪いなんて言ってないっス」

「言ってるようなもんじゃんか」


ムス、と脹れ相変わらずのコントロールで空箱をゴミ入れに放り込む。

増子先輩が一年の頃にはもうあったというゴミ箱は口が小さいのが難点だけど、ピッチャーの癖にノーコンな沢村が外しまくるのが面白くて結局そのまま使ってる。
三連続で外したら関節技。五連続ならスパーリングの罰ゲームが効いてるのか、最近はそこそこ精度が上がってきてるけど、亮介さんにはほど遠い。

その亮介さんはといえば、脹れっ面のまま再びゴロンと横になっていた。
手を伸ばして雑誌を取って、ぺらぺら捲る手がちょっと乱暴。
でも拗ねてるって丸解りで、俺は笑いながら機嫌を取る。


「すんません。怒んないで下さいよ〜」

「怒ってないし。てか実際、それほど甘いもの好きってわけでもないし」

「ウソだ〜、いつもウチの部屋でチョコとかクッキーばっか食ってるじゃないスか」

「バーカ。んなの、」


開いてた雑誌をパタンと閉じる。
前髪にほとんど隠れていた顔がついと上がった。

綺麗に弧を描いていた唇が悪戯っぽく開けられて、ドキリとした俺を見つめたまま



「どうせなら甘い方がいいかな、って思ってるだけだよ」


ちょん、と自分の唇に指をあてて、挑発するようにフフフと笑った。





前言撤回。でもって新発見。

亮介さんはピリっと辛い毒舌家で、甘いところは顔と声とカラダだけ。
だけど時々、俺の前でだけとびきり甘いチョコレートに化けるんだ。







-オワリ-







甘いもの、ということで甘甘倉亮に挑戦です!^^

今回は同じお題サイト様から[意外に甘党な彼のセリフ 5.君だってキスするとき甘い方がいいでしょ?]を加工させて頂きましたv
初お題の重ね書き。というかこのセリフを言わせたい!と思って書いてるうちに30題にも似たお題があることに気が付いたと言うか(笑)


ご来訪ありがとうございます^^

2009/07/25 ユキ☆




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