* お題他 *

□『魔法のことば』
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140文字で書くお題ったー 『貴方は御春で『笑ってくれる?』をお題にして140文字SSを書いてください。』 をお借りしました。

御春・お買い物デート中・お題に沿ってるような少し外れたような・春市視点
140字を書こうとしていたので短文です。













今僕は、ずっと片想いしていた大好きな恋人と買い物に来てるんだけど、その人は外見が良い上に野球が巧くて、自信家で努力家で、それでいて優しいからすっごくモテる。
なので校内外問わず女の子が放っておかない。あわよくば話しかけようとチラチラ、チラチラ見てくるものだから僕はいつも気になって仕方がないんだ。


(…あ、まただ)


せっかくのデートなのに。滅多に休みのない僕たちの貴重なプライベートを邪魔する華やいだ視線、黄色い声。
ただ憧れていた頃はこういうのも鼻が高かったし、彼女達より近くにいられることが純粋に嬉しかった。
でも気持ちが通じ合った今、そんな風にばかりも思ってられない。


御幸先輩の隣を歩く僕はどう見られているのかな?
友達?兄弟?やっぱり先輩後輩?…少なくとも恋人じゃないよね。
だってそう思ってたらこんな不躾な目線を送れないもの。

なんて、ライバルとも思われない事にすら哀しんでしまっている。

…ああやだな。男同士なんだから恋人に見えないの当たり前じゃん。
とっくに解ってた事なのにこんなことばかり考えちゃって自分で自分が嫌になる。


「どしたの?」
「あ…、何でもないですっ」


気づけば少し視線が下がっていた。
急いで取り繕う僕を真顔で見つめ返した先輩は、すぐに「ならいいけど」と微笑んでくれた。

…ダメだなぁ。気を使わせちゃった。
せっかく誘ってくれたのに。つまんない奴だって思われたよね…。


「なぁ、」
「…はい!?」


落ち込んでいたのでまたも返事が遅れてしまう。
慌てて見上げれば困った顔の先輩がふ、と小さく苦笑して、前触れもなく僕の頭を引き寄せた。
鍛えた胸元にとん、と頭がぶつかって一瞬で顔が赤くなる。


「み、みゆき先輩…!?」
「不安そうな顔もそそるけどさ、俺は笑ってる春市が一番好きだな」
「っ!」


耳のすぐ上から囁かれた、僕を見透かす先輩の言葉。
ファンの女の子達に嫉妬して、せっかくのデートを楽しめていなかった僕の心はあっとう間に御幸先輩に絡め取られた。


「な、なんてこと言うんですかこんな所で…!」
「ん?言いたかったからだけど?」
「〜〜〜っ」


何かまずかった?とニッと笑う信じられない人を軽く睨む。
でも赤くなっているからか、それとも僕に対して自信があるからか(たぶん両方だと思うけど)全然悪びれる様子もなくポンポンと頭に手を載せると再びシャツ選びに戻ってしまった。

ああもう何この人。信じられない。
今更だけど御幸先輩がモテるのは、外見や野球の実力、スマートな立ち居振る舞いだけじゃない気がしてきた。
たぶん基本的に人タラシなんだ。そう、言わば人類の敵―――というのは言いすぎだとしても、女の子(と、僕みたいな一部の男子)の敵なのは間違いない。


(…ああもうっ)


そういうのを全部解っててやってる恋人の目論見通り気持ちを引き上げられてしまった事が悔しくもあり、嬉しくもある。
でも、変な心配しなくてもいいよって。茶化した態度から読み取ってしまった僕は顔を上げていられなくなった。
しかも先輩のおかげで身も心も軽くなったような気さえして、風船みたいにふわふわ上っていきそうな自分を心の中で戒める。


(急に吹っ切れすぎでしょ…!)


でも、好きな人の言葉は嘘みたいに僕を幸せにしてくれるから。



「お!?」
「僕も、笑ってる先輩が大好きです」


腕に捕まり背伸びをして、魔法の言葉をお返しした。







「…あーもうお前可愛すぎ!我慢出来ねぇって!ちゅーする!いやさせてくれ!」
「え!?ちょ、御幸先輩!?」


珍しく赤くなった先輩も可愛いな、なんて思ったのも束の間、手近な試着室に連れ込まれへたり込みそうなキスをされた。


前言撤回!やっぱり全然可愛くない!









-オワリ-






いつも御幸の言葉に赤くなったり慌てたりしてるはるっちですが、最終的にははるっちに振り回される御幸先輩。という図式が大好きですv
今回は振り回されたんだか振り回したんだか解りませんけどv


御春、もっとはやりますように!!(合言葉)


最後までお読み頂きありがとうございました^^

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2014/3/17 ユキ☆


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