* 倉亮 *

□『肩凝り亮さんとマッサージが上手い倉持の話し』
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えろじゃないけどそれっぽくv背後にご注意下さい。







「…ふ」

日頃綺麗に弧を描いている唇から吐息が漏れた。微かな、それでいて聴き逃すことが出来ないほど艶やかなそれに倉持の鼓動が増していく。

「キモチイイ、ですか?」
「っ、急に、話しかけんな」

耳元でそっと問い掛ければ亮介がびくりと肩を震わせた。いつも余裕たっぷりで、どんな時でも倉持の一歩先をいく人が自分なんかに好きにされている。そう、この自分にこの人が、首筋やこめかみなんかを触られて切なげな吐息を漏らしているだ。これが興奮せずにいられるか?考えるまでもない。そんなの無理に決まってる。

「くらもち…、もう少し、右…」
「ここですか?」
「うん…」

はあ、と意識なく素直に零れる吐息。背後にまわっているせいで顔は全く見えないものの、どんな表情をしているのか想像はできる。一言で言えば恍惚。きっとそんな顔で亮介は目を閉じているに違いない。

(や、べえな。力加減間違えそうだ)

弟に比べれば華奢とは言えない亮介の肩、首筋、鎖骨。それらに手を滑らせる度に小さく声を漏らされては、こちらだって堪らなくなってくる。
でもダメだ、まだ早い。もっとゆっくり慣らさなくては後でツラい思いをさせてしまう。

「亮介さん、ここはどうです?」

少し心を落ち着けるため、細い肩に手を載せたまま背後から覗きこむ。すると動きを止められたことが気に入らないのか軽く睨まれてしまった。でもそんな顔しても無駄。赤い顔で唇を尖らせても可愛いとしか思えない。

「それにしても、こんなにシてるのにまだまだカタイっすね」

だからつい意地悪く言ってしまえば一瞬息を飲んだ亮介がバツが悪そうに顔をそらした。

「し、仕方ないだろ…!久しぶりなんだから…!」
「ですね。すみません」
「なんでお前が謝んのさ」
「だって、誰にもシて貰わずに俺のことを待ってたんでしょう?」
「っ!」

この人が少し留守にしていた自分を待つ必要はなかった。伊佐敷でも御幸でも、なんなら弟でもいい、捕まえて相手をさせれば良かったのだ。なのに倉持が実家に戻っている間、誰にも触らせず、こんなになるまで我慢していただなんて。自然サービス過剰になるのも当たり前。煽られたのも否定しない。

「亮さん」
「…ん?」
「少し、本気出しますよ…?」
「え、ちょっと待、ふあっ!」

慌てて振り向きかけた亮介の動きが止まり、今まで漏れていただけに過ぎなかった声が高く上がった。

「くらもち、っ」
「はい」

身体を気遣いつつも容赦なく手を動かす倉持を亮介が呼ぶ。その声音に痛みや苦しさだけじゃないものを感じ、倉持の唇に笑みが浮かんだ。もっともっと、もっと気持ちよくしてあげたい。悦ばせたい。自分がこの人の一番でいたい。

「あ、も、オマエ、ほんとに気持ち良すぎなんだよ…っ!」
「ヒャハッ!なんで怒るんすか」
「だって、」

なんか倉持が上手いのムカつくんだもん。
そう小さな声で文句を言う亮介が妙に可愛いもんだから、追い詰める手はまだしばらく止まりそうになかった。






「な、なにやってんすか…!」
「あん?」

背後から不意に掛かった声に倉持がぐるん、と顔を捻ればこの部屋の後輩、同室の沢村がひくひくと口角をひきつらせている。

「何って見りゃ解んだろ?」
「解りますよ!解りますけどでも、なんか、なんか…!」
「なんか?何だよ」

カーっと顔を赤らめる沢村の言いたいこと理解しつつも、にやあと笑って問い返せば、真っ赤になった沢村が「倉持先輩のばぁかぁぁぁ!」とか聞き捨てならないことを叫びながら逃げていく。
うん、何してるのか解るけどなんか違うよな。この人の反応、めっちゃヤラシイもんな。気持ちはよーく解るぜ。
と、心のなかで頷く倉持の服の裾が引っ張られた。

「倉持?」
「あ、すみません、なんでもないっす」

ね、続きは?とお願いされた倉持が再び亮介の肩に手を掛けて。…ぐ!指先でマッサージを再開する。

「にしても亮さん…。マジで肩凝り過ぎじゃないすか?ハンパなく固いんですけど!」
「うるさい、お前が三日も放置するからだろ!?責任もってさっさと解す!」
「っす」

ぐっ!

「あっ…ん」

ただのマッサージが無性にヤラシイく聞こえる先輩のバッキバキに凝り固まった肩が解れるのはいつのことか。倉持にも解らない。








-オワリ-





お久しぶりですみません!バタバタ忙しくしていますが生きてます!

ツイッターで仲良くして下さっている方の『肩こり酷い亮さんが倉持君にマッサージされて気持ち良さそうにする話下さい』という素晴らしいツイートに悶えて勢いのまま書いてしまったマッサージネタ。
ちょっと性急すぎましたがドキっとしてもらえたら嬉しいです(笑)



最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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ぷらいべったー2014/8/26掲載 サイト9/0再掲載  ユキ☆


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