* 亮春 *

□『リラックスなんて到底出来ない』
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オリキャラ1年とパンツ(下着)と亮春。どこに置くか迷った末に亮春へ。
少々(?)下品。大変くだらないです^^;






とある部屋で、とある一年は首を傾げた。


『この黄色のクマ柄パンツは誰のなんだ?』


先輩達の戻る前に部屋の掃除をしていた一年は、本棚の隙間に落ちていた黄色の布切れを手に首を傾げる。
それで持ち主が見つかるわけではないけれど、とりあえずびろーんと広げてみた。

ボクサーにしては丈が短く、ブリーフにしては股上が浅い。
いやそれよりも妙に小さく、妙に可愛い。自分も知ってるキャラクター柄。
どうみても女物っつーか。それ以外ないっつーか。


「いや…まさかな」


とある一年はハハ、と笑った。
右を見ても左を見ても、ここにいるのは思春期真っ盛りな高校生男子。アヤマチがあっても不思議じゃないが。


「いやいやいやいや」


思い浮かんだ考えを消すように、彼は同室の先輩達を思い浮かべた。
それも一つ上のゴツイ先輩が、このパンツを履いてグラビアポーズを決めたところ。


「ぶっっ!ありえね〜!!」


想像して吹いた。いやむしろ衝撃が強すぎて気持ち悪くなってきた。
それはナイナイ、と一人突っ込み、調子に乗って今度は二つ上の小柄な先輩を思い浮かべる。

自分の所属する青道高校野球部レギュラー、不動のセカンド小湊先輩。
その地位を確立する為に、筋トレも欠かすことなくやってきたはず。
現に何度も見ている着替え中の身体には、小柄なわりに綺麗な筋肉が付いていた。

それでもビジュアル的には似合うと思うが、キャラ的にはありえない。
『黙っていれば美人』、『微笑みの魔王』、『クリス先輩と並ぶ影の支配者』
その小湊先輩がコレを履くわけがない。


そうそう、同じ”小湊”でも弟の方が似合うんじゃねぇか?

とある一年は再びパンツをびろーんと広げた。
広げて魔王の弟を思い浮かべる。

明るい髪色。恥ずかしそうに染める頬。兄貴にならって筋トレも頑張っているらしいが、相変わらず細い身体。
大分焼けたとはいえ基本色白だし、コレを履いたらどんな感じになるんだろう。


「いや、いくらなんでも」


ねぇだろう。と否定した口とは正反対に、身体が見事に反応した。

何度も言うが自分は正常なイチ高校生。三度のメシより女が好きだ。好みを言えば巨乳のロリ顔。
それが可愛いとはいえ野郎のパンツ姿を想像して勃つとかあり得なさ過ぎる!

だが身体とは往々にして正直なもの。
青少年の一部は元気に主張し始めていた。
しかも鼻の下には温かい感触。
まるで鼻水が垂れたような…。

まさか!?と拭った手には赤い筋跡。とある一年は飛びのいた。


「まじかよっっっ」


慌てて辺りを見回して、ボックスティッシュを必死に探す。
しかし掃除の邪魔だと定位置から動かしたものはどこを見ても見当たらない。
消えたティッシュ箱。にょきにょきと角度を変え続ける我が愚息。容赦なく滴る真っ赤な鼻血。


「ううー!」


情けなさに動転したた青少年は、咄嗟に手にした黄色の布で鼻を押さえた。

その時。


「すみません、兄貴いますか?」


ノックの後、小さいけれどよく通る声が玄関の外から聞こえてきた。
それは先ほど想像した、明るい髪で頬を染めて筋トレしても華奢で女みたいな顔した同級生の声そのもので。

男同士とはいえ、こんな姿は見せられない!!!
真っ青になったとある一年は、慌てて玄関を振り返り心の中で絶叫した。


『入って来るなァァ!!』


しかしそんな心の制止が届くはずもなく。
小湊(弟)は返事のない部屋をいぶかしんで、ガチャリとノブを回してしまった。


「あの〜。すみません、兄貴は………え?」


いつもぽっと染まった頬がみるみるうちに蒼くなった。
元々白い顔は蒼白に、細い指がぷるぷるしながら自分を指す。
いや正確には鼻血を止めてる黄色かったクマ柄パンツ。


「……ソレ、俺の…」
「ふぇ?」


震える声が呟いた言葉にとある一年は間抜けにも聞き返した。


「ソレ俺のパンツだって言ってんのっ!このバカ変態死んじまえっっっ」


そう叫びながら土足のまま上がりこみ、真っ赤に染まったパンツを引っ手繰ると涙にぬれた目でキッと強く睨み付ける。
そしてくるりと身を翻すと物凄い速さで飛び出していった。

春市からしたら、パンツ(それも自分の)を顔にあてて鼻血を出しつつハァハァしている変態にしか見えない。さすがの春市も、そんな最低な男に優しい言葉を掛けるはずがなかった。


残された無残な一年は、呆然とその場で立ち尽くす。
ボクサーにしては丈が短く、ブリーフにしては股上が浅い黄色のキャラクターパンツ。
女物にしか見えなくて、やたら可愛いアレが、アイツのだって?

ってかそもそも、


「何でアイツのパンツがこの部屋に……」
「余計な詮索しなくていいの」


突如掛かった声に、「ヒィィッ!」と情けない悲鳴を上げて青少年は振り向いた。

いつの間に帰ってきたのか、魔王こと同室の最上級生がニコニコ微笑んで立っている。
しかしその微笑みは氷のようで、いつもの笑顔より何倍もコワイ。
ただでさえもオソロシイ先輩が、すっかり縮み上がっていた部分と血を拭った顔を見て、更に笑顔の温度を下げた。


「随分な姿だけど、どうしたの?」
「え!?あ、あの、」
「って、聞いてあげてもいいんだけど…?」


とある一年は首を振った。ぶんぶんぶんぶん激しく首を横に振った。
その様子に亮介はニッコリと微笑み返す。


『今のを不問にして欲しければ全て忘れろ』、という無言の圧力に、青少年は浮かんだ疑問を即座に打ち消したのだった。




その後、黄色のクマのキャラクターを見るたびに、脱兎のごとく逃げ出す野球部員がいたとかいないとか…。






-オワリ-





亮介さんの部屋にはるちのパンツが落ちていた理由はアレしかないですよね♪
でもじゃあ、はるちはノーパンで自分の部屋に戻ったの?とかは気にしてはいけません(笑)

以前リクエスト頂いたはるちのパンツネタ再びです。既にリクは書き終えているのですが、こちらの方がそれっぽくなりました(笑)
亮介さんの部屋の一、二年が解らなかったのでオリキャラになってしまいましたが、オリキャラ苦手な方すみませんでした!

最後までお読み頂きありがとうございました^^

  Clap
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2013/05/13 ユキ☆


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