* 亮春 *

□『泣きそうな顔しないの、嘘だよ』
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涙を堪える顔が好き。

我慢しきれなくて泣きだす顔もいい。

言われなくても解ってる。俺は少し歪んでるから。









* 泣きそうな顔しないの、嘘だよ *






ふたりきりの部屋の中、突然告げた別れの言葉に腕の中のぬくもりがびくりと跳ねた。
慌てて上げた顔はさっきまでのバラ色が嘘みたいな、そうまるで蝋のような酷い色。

そりゃそうだ。優しいキスの後に別れ話なんて、普通ありえないよね。


あーあ。可哀想に。


今にも崩れそうな弟を抱き寄せたまま、残酷な言葉なんて嘘みたいに声を立てずに亮介は笑う。
それに気づくことなく春市の色をなくした唇が恐る恐る開かれた。



「あに、き。…それって」

「うん?」

「兄弟に戻ろう、って…」


耳から入る自分の言葉に更にショックを受けたのか、長い前髪に覆われた瞳にみるみる涙が溜まっていく。

あと一歩。あと一歩で滑らかな頬に涙が伝う。
そのギリギリの表情がたまらなく愛しく、だからこそ自分の手で壊したくなるのだ。


冷えた頬に両手を添えて、亮介は出来るだけ優しく春市の顔を覗き込んだ。



「ばかだなぁ、春市は」

「…え?」

「泣きそうな顔しないの、嘘だよ」


さらりと告げられた真実に、春市の目が大きく開かれた。
それによって均衡が崩れ、頬を伝う涙が亮介の手を濡らしていく。



「…なに、それ」

「ん?」

「なん、で、そういうこと言うの…!」

「ごめん。春市が可愛いから」

「っ、意味解んない…っ」



白い頬が怒りと安堵に染まっていく。


ああもう、可愛い。可愛いなぁ。


腕の中の春市をぎゅうっと抱いて亮介は微笑う。




こんな酷いことをしてしまうのは、ついいじめたくなっちゃうのは、春市のせい。



可愛いすぎるお前が悪いんだよ。





-オワリ-




どこに置くか迷った末にここに置いてみる。
てゆうか、なんですかこの素晴らしいお題は!!ヤンデレ亮春すぎてたまらないよ!(はあはあ)
…たまに無性にヒドイ兄貴を書きたくなるのです;すみません(汗



ご来訪ありがとうございます!

2012/2/09 ユキ☆

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