天上の花 〜君へ〜

□ソラトキミト
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―――白く細く、糸の月。

桜ははらはら散っていく。
人のいなくなった学校は、昼間の喧騒とは遠く離れて、静まり返っていた。
それでも、わたしは怖くなんてなかった。



こわいものなんて、たくさんみてきたから。



暗くて静かな学校ぐらい、少しも怖くなかった。
けれど、わたしは震えていた。
寒くもない、春も半ばの夜なのに、わたしはおかしなほど震えていた。



あぁ、わたしはこわいんだ。



初めてそう思って、おかしくなる。
もちろん、怖いのは学校なんかじゃない。



こわいのは、そこでまつモノ。
そこに立っている影。



闇の中から腕が伸びてきて、そっとわたしを抱きしめる。



わたしはなにもいわない。
『それ』もなにもいわない。



でも、それでいいんだ。

















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