天上の花 〜君へ〜
□コネコノウタ
2ページ/6ページ
「あーあ……」
そんなティエリアの背中を見送ったロックオンは、苦笑しながらぱりぱりと頭を掻いて溜息をついた。
「悪いな、沙慈、ハプティズム姉妹。あいつ怒らせたまんまだと厄介だから、やっぱり今日は止めとくわ」
「分かった。ハレルヤがごめんね」
「気にすんな。 刹那はアレルヤ達と一緒に行くか?」
「いや……」
ロックオンの穏やかな問いに、刹那はふるふると首を振る。
「そっか。じゃあ、後は僕達だけで行こうか」
「うん……」
アレルヤの言葉に頷きながらも、僕は密かに刹那の様子を窺う。
相変わらず小柄な少女は、長身のロックオンの背中に隠れるようにして僕を見上げている。
「………………」
――僕は、何故かどうしようもない罪悪感を覚えてその赤い目から逃げるように視線を逸らした。
「じゃ、そろそろ教室に戻ろうぜ」
興が冷めた、といった風なハレルヤが欠伸交じりに呟き、僕達は体育館を後にした。
「ハレルヤはようやく来たみたいだね」
「よ、ビリーせんせ」
「じゃあ、クロスロード君はどこにしようか……」
――教室に帰ってまず最初にしなくてはいけなかったのは、僕の席替えだった。
その時、むーっと考えるビリー先生に、窓際の席に座ったロックオンが自分の後ろを指した。
「先生、俺の後ろ、実は席空いてんだけど?」
「本当かい?」
どうやら、長身のロックオンに隠れて見えなかったらしく、確かに彼女の後ろには、ぽつんと一つだけ席が空いていた。
「じゃあ、ロックオンの後ろに移って貰えるかな、クロスロード君」
「はい」
幸い、転校初日ということで、荷物は鞄一つと教科書が数冊だけだ。
僕は、手早く荷物を鞄に詰めるとハレルヤに席を明け渡した。
「ごめんね、席取っちゃって」
「ああ、いいって」
サンキューな、と言って、ハレルヤはどっかりと席に着いた。
そして、新しい席で僕を迎えたのは。
「よろしくな、沙慈」
音が出そうなロックオンのウインクだった。
――そして、放課後。
「じゃあ、次はどこから回ろうか?」
うーん、と結構真剣に悩んでいるアレルヤ。
すると、そんな彼女の肩越しからひょこっと頭を出したハレルヤがぱん、と手を打った。