天上の花 〜君へ〜

□シロイロノムコウ
2ページ/4ページ



「あいつか!」

真犯人を見つけたロックオンの行動は早かった。
素早く僕の胸倉を離した彼女は、無駄のない動きで傍に転がっていたバスケットボールを拾い上げると、男子生徒に向かって投げ放った。

「狙い撃つぜ!」

その言葉通り。
彼女が放ったボールは、狙い違わず生徒の頭を狙い撃ち、その衝撃で生徒はその場に倒れこんだ。
それと同時に、体育館に響く割れるような黄色い歓声。

「きゃーーー!!」
「素敵です!!」
「流石ロックオン先輩!!」

声の主はみんな女の子で、ロックオンもそんな彼女達に手を振って応えている。
そして、僕もロックオンが手を離したことで支えを失い、その場にぺたりと座り込んだ。
もう頭の痛みはないが、何だか嵐のような展開に身体がついていけてないのだ。
すると、今までロックオンに圧倒されて動けなかったアレルヤとハレルヤが慌てて僕の傍に駆け寄ってきてくれた。

「大丈夫!? クロスロード君!!」
「おいおいしっかりしろよ」

アレルヤに背中を支えられ、ハレルヤに肩を持たれる。
すると、犯人にとどめとばかりにボールをぶつけてきたロックオンが、きまり悪げにこちらに戻ってきた。

「酷いよロックオン!」

アレルヤが少し怒ったように声を上げると、ロックオンは困ったように笑って、ぺこ、と頭を下げた。

「悪ぃアレルヤ、ちょっと先走りすぎちまって……」

ごめん、と頭を下げるロックオンに、ティエリアが冷ややかな視線を投げる。

「謝る相手が違うだろう」
「あ、そうか」

そしてロックオンは、僕の前までやってくると、きまり悪そうに僕に手を差し伸べた。

「マジでごめんな。痛かったろ沙慈?」
「平気です」

本当に、痛みも視界の揺れももうない。
ただ、何となく、嵐のようなロックオンの勢いに圧倒されただけだ。
僕は情けない笑顔を浮かべると、ロックオンの手を取って立ち上がる。
と、そこで僕は妙な違和感を感じた。




次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ