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森のフォーラム

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Re:短編小説
きみ
[ID:boopc410]
端にかわいらしい絵柄が添えてある目の前の真っ白な紙とにらめっこをして早30分。シャープペンシルを指で器用に回しながら、ああでもないこうでもないと整理のつかない頭で文章の構成を練っている。
既にだめになった紙は丸まり、ごみ箱にいくつもほうり込まれていた。
にらめっこを止めるとシャープペンシルをベッドに放り投げ、前髪をかき上げる体勢で机に肘をつき、うーとかあーとか言葉にならない声を上げている。
思い立ったはいいものの、いざ書こうとすると怖じけづき、完璧だと言えるものが完成しない。
文章以前に、字をきれいに書くことにあまりにも必死になり、紙が汗でふやけてしまったのもいくつかある。
ため息が出た。
「どうしよう……いい文章が思いつかないよ。字だってホントはもっとかわいく書きたいのに……」
そうぼやきながら、彼女はふとこの手紙を渡す相手のことを考えた。

彼は同じクラスの男子だ。初めて話をしたのは隣の席になってからで、結局その頃そこまで親しくはならず、彼女にとっても特に彼が気になる存在ではなかった。
しかし、たまたま友達に連れられて友達の彼氏がいる部活を見に行ったとき、ふと彼が目に入った。
――同じ部活だったんだ。
まずはそこに驚いた。しかし彼女は、それ以上に彼の姿に驚いてしまった。
はたから見ていると、すでにスタープレイヤーとして華々しく活躍している彼氏とは対照的に、彼はまだ未完成の素材のようだった。
だからこそなのか、彼女には彼の姿が誰よりも一生懸命に見えていた。
ぶっ飛ばされたり、ファウルしたりされたりしても嫌な顔一つ見せず、ただただ瞳を光らせて貪欲に成長していた。
コートの外にいるはずの彼女が、まるで彼が目の前にいるように圧倒されていた。

「単なる負けず嫌いだよ、あいつは」
休憩中に友達の彼氏に聞いてみた。一番始めに返ってきた言葉がそれだった。
聞いてみると、彼はやはり部活にとても熱心な人だった。まだレギュラーの座は勝ち取れていないが、毎日ひたむきに練習を重ねていた。
「オレ達スタメンとさも同等だと言いたげに立ち向かってくんだよ、ド下手くそのくせに。あいつ、気迫だけは一人前だぜ」
まあ気持ちも大事だけどな、と彼氏は苦笑気味に付け足した。
普段の授業中や彼の友達と楽しそうに話をしている場面からは想像もつかない姿だった。
彼女はそこにやられてしまったようだ。今まで興味もなかったそのスポーツが好きになったし、ルールも覚えた。クラスにいるときも、友達を介して話しかけるようになった。

そうして、友達に告白を急かされて今に至るのだ。
いろいろと思い返してみると恥ずかしい言動もあり、いまさらながらこしょばゆい感覚が全身を駆け巡った。
それを掻き消すようにわざと大きな声で決心を口にした。
「〜〜あーだこーだ考えても仕方ないか!よし、もう簡単な文章でいいや!」
ばっと顔を上げて放り投げたシャープペンシルを手に取った彼女は、手の汗を入念に拭くと、まだ何も刻まれていない用紙に自らの気持ちを短くも率直に表した。
「……よーし、これでオッケー。明日時間あっちがあるときに渡し……じゃなくて今日か、もう」
ちらりと見た時計の針はもうすでに午前0時をすぎていた。

……ちなみに彼女が寝る前にふと疑問に思ったのは、ずばり手紙を彼に渡すタイミングであった。
「朝は朝練、休み時間は友達と話してるし、放課後は遅くまで部活……うーん……」

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ぐわー、精進します……。

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