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森のフォーラム

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Re:短編小説
美里
[ID:want2love]
目を閉じて、擦り寄るように身体を預ける。隣の彼はピクリと動き、声を落ち着かせてから聞いた。
「どうしたの?」
恐らく、普段あまり甘えない私がこんなことをしたから驚いているんだと思う。私は眉間にぐっと力をいれて返事を返した。
「おなか痛い・・・」
「え!?」
私が寄りかかっているのに立ち上がろうとしたので、私はずるりと頭を下げることになった。また寄りかかりなおして、黙ってリアクションを待つ。
「え、大丈夫?ねえ、どこが痛いの?風邪?え?」
「いや、だからおなかが痛いんだって」
「あ、そっか、えっと、えーっと、あっためる、そうだ、あっためよう!なにか飲む?あ、風邪だったら」
「風邪じゃないです」
私は片目だけ開いて、彼は少し高い位置から私を見下して、しばしの沈黙があった。腹痛の意味を理解したらしい。彼が小さく息を吸う。
「っ、えっとせい・・・月経?」
「ええ、そうね、月経痛です」
まるで保健体育で習ったばかり、とでも言うようにあえて意識していった言葉は、その後も彼の唇を迷わせる要因になった。私はそんな単語は使い慣れているので、今更異性と言えどさして恥ずかしいとは思わない。姉が弟の初々しさを眺めているようにも見えるだろう。
事実、私と彼は年の差のあいたカップルである。私のほうが五歳年上。そしてつい半年前までは本当に近所のお姉さんに過ぎなかった。彼が背伸びをして、わたしの呼び名を雪さんから雪に変えたのはついふた月前。
手をつないで、ハグをして、小鳥のようなキスをした。それだけのプラトニックな関係。そして申し訳ないけど、彼にはその先へ進む勇気がないように見受けられる。
彼は身体を離し、ソファーの上で気だるくしている私に身体を向けて正座をした。そしてポンポンと私のおなかの上にクッションやらタオルケットやらを乗っけて、自分は何をすればいいか、ゆたんぽはいるか、今日の夕食は軽いものにするべきか、と、もうそれは尽くしてくれた。
違うんだけどな、こういうのは。本当は額に手をあててため息をつきたい。でもかわいいことをしてくれる大事な恋人にそんなことは言えない。だから無言で手招いてぎゅっと抱きしめた。
「今日は家でごろごろしてよう。ご飯はとっておきに美味しいものを作って」
顔をうずめて、息を吐ききる。彼は頭の上で小さい返事とともに頷いた。
私のために頑張ってくれるのはすごく愛を感じるけど、背伸びされるのも複雑だ。雪って呼ばれるのも嬉しいが、ありのままの彼が好きというか。
「ゆ、ゆきさん?」
わたしがあまりにも動かないので、彼は少し身体を離して覗き込んだ。それにわたしも視線を合わせる。
「愛って難しいね」
素っ頓狂な声を上げたあと、困ったように眉を下げて口ごもる。わたしはその様子に思わず笑みを漏らして、心の中で呟いた。わたしのために困ってくれる顔が最強にかわいい、と。

*

少年っていいよね。
ああ、少年って美しい。笑

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