特別に、
□はりきって!
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『……』
「案外弱いんだな、お前。」
負けたああああっ……!!今までそんなに負けた事は、無かったのに。
なんて屈辱だ。何て悔しさだあっ!!
『黙ってろシェゾ!』
「ん、負けたやつは確か……言う事を聞く、というルールだったよな。」
にやり、と笑ったシェゾの表情はもうなんというか、本物の黒い笑みで。
ぞわり、と鳥肌がたったのは秘密にしておこう。
『……な、何を聞けばいいんだよっ』
シェゾは、ふ、と不敵な笑みを見せる。
「そんなの決まっているだろう?……俺に、お前の全てをよこせ。」
『……じょーだんは止そうか、シェゾ。』
「ルールは、守らなきゃな?」
シェゾに優しくぎゅ、と抱かれた。
ふわり、とシェゾの匂いがするたびに、顔に熱が集中するのが嫌な程分かる。
シェゾの甘いにおいが、私の脳内を侵食していって。
『―っ!?』
頬に、柔らかい感触を感じた。
「未来、今回はこれで我慢してやる。」
はりきって!
(次は、負けないから!)
(なんとでも言え。お前はまた負けるからな)
(シェゾのばーか)
(なんだ、もう一度してほしいのか?)
(ち、ちがう!!)