ぷよぷよと、

□貴方に
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―熱い、体が、熱い、いや、寒い?


喉が乾いて、カラカラだ。起きる気力もなくて、食べる気力も今の自分には無いと思う。

でも、目を開ける気力はあった。



『―ぅ、ん』

第一印象は、少し埃っぽい空気だ。思わず咳をする。


私は、木にマットレスが敷いてあり、その上に布がひいてある丁寧なベットの上から上体を起こした。やはり、埃っぽい。布団の誇りもまた、同じ匂いがした。


『……此処は、どこ?』

このセリフはもう何回言っただろうか。
そんなに言っては無い気もするが、こう何度も言うと流石に疑う。

今度はベットから起き、周りを見て伺った。
そうだな、壁と床は木の板でできており、扉や家具と言った種類も全て木でできている。


あれ?おかしいな、確か森にいて―
思いだそうとすると、何故か頭痛がしてきた。

そうだ、あの、あの夢の、銀髪の男の人が出てきて……。


そうだ、あの人はどこなんだろう?
私を夢で追いつめ、森で私の目の前に現れた―。


部屋はそれほど広くもない。
だからなのだろう。近くに人の気配を感じた。
私はベットの近くのソファで眠っている白銀の髪の毛をした、綺麗で少し幼い顔立ちをした、彼の近くに行く。


何故か疲れているようで、私が近づいても気付かないで寝ていた。


『普段からこんな顔だったら、良いのにね』

そんな呟きが、私の喉をぬける。
ほとんど、初対面なのに。……でも、何故かこの人とは、初対面じゃなくて、ずっと昔から知ってたような気がしてならない。

そんな、そんな感覚が私自信を揺さぶる。
―自分のおかしい頭の気のせいだと、願いたい。






「……俺の顔に何かついているのか?」


ぎくり。
今の私の動きを表すと、まさにこの表現だろう。


寝てなかったんだ…。
ど、どうしよう、気まずい。とてつもなく、気まずい。次は何を発せればいい?そんな力強くて優しい青眼で見られたら、分からない、分からないよ。
既に私の脳内は、青眼の視線でショートしている。




「―お前の名は?」


私がおどおどと次に発する言葉を考えていると、彼は名を聞いてきた。
……って失礼じゃない?!名前を聞く時は、先に名前を名乗ってからじゃないの?


『先に貴方から名乗るべき、でしょ?』


うゎあああああっ!!やってしまった……ッ。
人見知りとツンデレと危険察知機能をかけあわせた、…「この人危険だレーダー」が、つい出てしまった!!

ほんっとうにどうしよう、私……!!
顔には出さないが、取り返しのつかないことだって知っている自分に、なおさらがっかりしていた。




「―っ、おもしろいな、お前。」


うぉああああ、この人平気で人を傷つけてますよ!!天然か?計算か!?何なんだよおおっ!!じゃあ、ドSか?平気で傷口に塩を塗るのかっ!?


「―俺はシェゾ・ウィグィィ。お前の名は?」


彼は少し笑った。
私の曇ってごうごうと雷をたてていた嵐のような心を、晴らしてくれるかの様な表情だった。

……なかなか、難しくて、でも優しい人だな、と第二印象を色づけた。



『私は、鬼華未来です。……今現在の状況を教えていただけます?』


私はなんて不器用なのだろう?改めてそう思った。
「教えてください」の一言も言えないなんて、おかしいぐらい人見知りすぎる……!!ああ、私はこんな瞬間なんて望んでなかった。望むはずがない。
だけど、脳が勝手に「こいつは避けろ」と命令を下す。こんなときだけに、正常な働きしてんじゃねえよっ!!


私の心の葛藤が分かったのか、はたまた、天然なだけか。彼は私を見て、少しため息をつく。そして、口を開いた。


「あのな、俺はお前を助けた。」



…………いやいや、なんなんだよ。
「俺はお前を助けた」、じゃねえよ。
それはありがたいけど、何で助けられたのかとか色々と疑問浮かんじゃうよ、おいおい。
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