ミドル用

□火曜日
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「名字さん、悪いんだけど今日の放課後先生出張で居ないから保健室にいてくれないかしら。  ずっとじゃないわよ? 代わりの先生が来るまででいいから。  本当?ありがとう!! お礼にこっそりお土産買ってあげるわー それじゃ、よろしくね」


「ほ〜それで名前ちゃんが保健室におるんか」

『おめが来るって分がっちゃったら来ながったけどな』

「相変わらずツンデレじゃのう……

ま、そこも可愛いナリ」

『ぶっ飛ばすぞ。 それにしても、なぁしてこったら怪我したのよ?』

「………ノーコメント」

『(イラァ)』

「痛いナリ!!! もうちっと優しく!!」

『真面目に答えろ』

「わかった!わかったナリ!! じゃけぇ放して!!」

『最初からそうせじゃよ』

「……うぅ、酷いナリ」


イスに座り涙目で見つめる仁王

立ったまま冷めきった目で見つめる名前


全くもって対称的な二人である


すると、おもむろに仁王が名前の袖を引っ張り自分の方に引き寄せた。

そして名前のお腹辺りに顔を埋める。


すぐに引き離そうとするが、腰に回した腕が強く離れない



「………考え事しちょった」

『試合中なのにが?』

「おん」

『馬鹿でねーの? なんがやってる最中に考え事って…そいなんだば怪我したのも納得でぎるな』

「…………………………」

『何? 間違った事言っちゃーが?』

「――――か」

『聞けねぇ。もっかい』

「……心配してはくれんのか?」

『仁王……』

ギュウ…

腕の力が強くなる。

「俺は名前ちゃんを本当に大切に思っちょる。 けど、それは俺の一方通行なんか? 名前ちゃんにとって俺は、名前ちゃんの中で俺はどういう扱いなん? 怪我しても、笑っても、泣いても、何も感じないんか?


名前の耳に入ってくる仁王の声は、泣き叫ぶ子供のように聞こえ、腕やお腹などくっついている部分から仁王の不安が伝わる。


仁王の頭をなでながら名前は口を開く


『んだわげ「おーい仁王ー大丈夫かぁあ!?」

――そんなことはない、と。

だが、それは最後まで言えなかった


「ブンちゃん…」


保健室に来たのは丸井ブン太だった

何を勘違いしたのか(十中八九仁王が名前に抱きついてるとこ)顔を真っ赤にして、手を勢いよくふる


「違うんだ!!狙ったわけじゃなくてだな!!なかなか帰ってこないから心配になってだな!!『丸井』な、なんだよぃ名字」

『グッジョブ!!』

「「え?」」

『へばな!! 後よろしく!!』




足音が聞こえなくなって、たっぷり5秒後

「「……逃げた?」」

綺麗にハモった二人だった






マンガみたいな火曜日
(数分後、)
(男子生徒の悲鳴が)
(校内に響き渡った)


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