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□過去拍手
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「ねぇ、シュウの遺伝子を分けて」


「はぁ?」


違う、変な意味じゃなくて。


もっとこう知的な意味で私は言ったわけ。


「シュウの遺伝子を解析したい。だって人間の遺伝子とどこが違うのかって気になるじゃない?」


「別に。あんた、また変なこと考えてんの?」


変なことなんかじゃない。


ただ、他人の遺伝子の配列を見るって、ちょっといけないことしてるみたい。


あなたの全てを見てしまったというか。


どこか厭らしい気持ちになるのは私だけだろうか?


「それに」


「何?」


「私もそのうちヴァンパイアになるんでしょ?」


それはこの前聞いた話。


血を吸われ過ぎたり、交わったりすると感化されて自身もヴァンパイアになってしまうって。


それって生物学上、凄いことだと思う。


「どうやって遺伝子を取り込むのかしら」


哺乳類にもそんな能力があったなんて。


いや、それとも取り込むんじゃなくて変えられてしまうのかも。


そうしたらヴァンパイアの体液って実はもの凄い脅威を秘めていたり。


「自分が変異体って考えると妙な気分」


「あんた、まだ言ってんの?」


「だって」


「どうだっていいだろ、そんなこと」


あんたは俺に変えられた―それだけで十分だ。


色っぽい声でそう呟かれれば、それでいいかもと思ってしまう私は愚かだろうか。


「そうね」


理由なんてどうだっていい。


もうすぐ私は変わるという事実だけが全てなのだから。
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