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□逆巻家
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これは私の意思ではない。


不本意なことなんだ。


そう自分に言い聞かせて、何とか自我を保つ。


これは私が望んだことじゃない、元々人間の身体とはそういう風にできているんだ


そう考えてないと意識が持って行かれそうで、私はシーツを掴みながら耐えていた。


「あんたさ、口では否定してるけど実はこういうの好きなんじゃないの?」


私の上に跨って愉快そうに体を弄ぶその男は、至極楽しそうにそう言った。


「好きなわけ・・・」


必死に否定しても、私が口を開こうとするたびに快感の波が押し寄せてくるものだから、最後まで紡ぐことができない。


私たちが繋がっている場所からはクチュクチュといやらしい音が溢れていて、それがまた私の羞恥心を煽る。


「あんたってホント淫乱だよな」


そう言って流れ出る蜜を掬い、私の目の前に持っていけば


当然のことながらその指は液にまみれていて、何とも屈辱的な気持ちになった。


「・・あっ・・・やめ、んっ」


もう、やめて。


これ以上はだめ。


そんな声はきっと届かない。


言葉にしようとすれば唇は塞がれて、息苦しくなり


解放されたと思えば、舌で胸の先を舐められる。


「あんたが物欲しそうな顔するから舐めてやったけど、まだ足りないの?」


もう十分すぎる位刺激を受け取った私の体は、その熱をもてあましていて。


こんなのは私の意思じゃないって分かってる。


分かってる筈なのにどうしても止まらない。


「違っ」


「何?聞こえない」


どんなに否定しても、どんなに抵抗しても、決して埋まらない力の差。


そして口では楽しそうにしながらも、時折遠くを見るようなその瞳に、引きこまれそうになる。


嫌なのに。


早くこの腕から逃れたい筈なのに。


「はぁ・・あっ」


どうやら彼の指は私の敏感な部分を熟知しているようで


ゆっくりと撫でるように触れられれば、息が上がるのが自分でも分かった。


体はシュウを求めている。


だけどそれを口にすることを理性が許さない。


「ほら、どうして欲しいか言えよ?」


体が熱い。


中途半端に撫でられたその部分は、さらに熱を帯びてより強い刺激を求めている。


「言わないとずっとこのままだけど、いいわけ?」


指と舌で器用に私の弱点を攻めるその動きにとうとう耐えられなくなった私は


咄嗟にシュウの腕を掴んでいた。


「何?言わなきゃ分からないんだけど」


この男は本当に意地が悪い。


だけどそれに耐えられる程、私の理性は持ちこたえてくれなくて。


「シュウ、お願い・・・」


みっともなく懇願した私が意識を飛ばす前に見たものは、ひどく満足げな彼の笑った顔だった。







理不尽を体で覚えた
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