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□逆巻家
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・・・大きい。


いや、私より大きいことは分かっていたのだが、いざ隣に並ぶと身長差が浮き彫りになってくる。


もう少し低くてもいいんだけどな。


身長180cmとは聞こえがいいが、並んで立っているとどうしても見上げる形になってしまい


私はそれが好きじゃない。


「シュウ、ちょっと座って」


「は?」


「いいから。ここ座って」


ベットの端を指差して座るよう促せばごろんと横になったシュウ。


寝るんじゃなくてただ座って欲しかったんだけどな。


「ああもう、なんですぐ寝るかな」


無理やり引っ張って起こせば、何か言いたそうにこちらを見ている。


そんなことはお構いなしに、もう一度私は身長差を確認する。


当然のことながら私の方が目線が上である。


どうすればこの差は埋まるだろうか。


そう考えながら少し離れた所に置いた椅子に座ったり、隣に腰かけてみていたのだが


なかなかいい案は思い付かない。


「何?」


私の動きを不審そうに見ながら、シュウは問いかけてきた。


そりゃそうか。


何の説明もなしにこんなことをしてるんだから。


「えっと、どうすればこの身長差は埋まるかなと思いまして」


私が説明すると、ふーんと興味なさそうな様子で横になってしまった。


まぁ、いいけど。


無理してヒールの高いのでも履くかな。


そう諦めてシュウの隣に腰かけると、急に起きあがった彼によって腕を引かれた。


「え?ちょっと」


そうして私の体はシュウの膝の上に。


普段こんなことはしないから、かなり恥ずかしい。


何故こんなにも密着する必要がある?


「ねぇ、降ろして」


「・・・」


突然何だというのだ。


いつもなら隣に座っても面倒臭そうにこちらを見るだけなのに。


急にこんなことされたら、こちらだって動揺してしまう。


「こうすれば」


「え?」


「差なんてほとんど感じないだろ?」


あ。


確かにそうだ。


だっていつもは下から見上げる筈の青い瞳が、こんなにもすぐ傍にある。


「ねぇ、シュウ」


「ん」


「好きだよ」


そう言って私は、手を伸ばせば届く距離にあるその唇に、そっと口付けた。







その僅かな隙間でさえも
高身長のシュウ様に包まれたい
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