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□逆巻家
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舌の先が赤くなってる。


それを確認するように鏡を覗き込むと、背後にシュウの顔が映るのが見えた。


「何?」


ずっと後ろに立たれるのも何となく嫌なので、そう尋ねてみると可笑しそうに笑う彼がいた。


「火傷したのか?」


「う、うん」


「見せてみろ」


この笑みは何かを企んでいるに違いない。


少し躊躇いながらも舌を出すと、目線を下にずらしてそれを見るシュウ。


なんでだろう、恥ずかしい気分になってくる。


「相変わらずどんくさい奴だな」


「うるさい」


だってあんなに熱いとは思わなかったのだもの。


そう言って舌を引っ込めようとすると、伸びてきた手によって顎を掴まれた。


「どうしたの?」


「もう一度見せてみろ」


一体何を企んでるんだろう?


譲らないシュウの様子に渋々舌を出すと、顎を上に持ち上げられた。


「ふーん、随分赤くなってんな」


やっぱり恥ずかしい。


もういいでしょ、そう思って引っ込めようとしたその時。


「痛っ」


咥内に侵入してきたシュウの舌は、ちょうど敏感になっている部分に当たり、私は思わず声を上げていた。


「へぇ、痛いの?それなら消毒しなきゃな」


面白そうに何度も舌を絡めてくる。


でも痛かったのは最初のうちだけで、気が付くといつの間にか気持ちよくなっている私がいた。


火傷した部分も少しヒリヒリする位。


「シュウ、もうやめ」


「ん」


まるで私が喋るのを邪魔しようとでも言うように、深く口付けてくる。


しだいに頭がぼーっとしてきて顔が熱くなってきた。


そのままベットに沈みこめば、さっきまでの舌の痛みなんてもはやどうでもよくなる。


「お前の口の中、熱いのな」


「シュウだって」


そうして2人で笑い合う。


更に深く沈み込んでいく体を預ければ、体温が伝わっていくのを感じる。


このまま2つの体が溶け合って1つになれるような気がして、私は幸せな気持ちに包まれた。







融解点36℃
結局イチャコラしてただけ
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