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□逆巻家
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ガタンッ


大きな音が屋敷中に響き渡る。


「何この音?」


「さぁな。てか寒いんだけど」


相変わらずだるそうな様子でこちらに目をやるシュウ。


私がドアを開けたのが気に入らないのか、少し顔をしかめている。


「どうせまたアヤトが暴れてんじゃねぇの」


「確かにそうかも」


バタンッ


再び大きな音が聞こえてきた。


階段の方に目をやって溜息をつく。


「アヤトも懲りないねぇ。またレイジさんに叱られるんじゃない」


「おい」


あ。


後ろで低い声がして振り返るとシュウの顔がすぐ近くにあった。


相変わらずの無表情。


それでも、機嫌が悪いのは伝わってくる。


「分かった分かった。もう閉めるから」


そう言って扉を閉めてからシュウに抱きつく。


シュウの体は冷たい。


反して私の体は温かい。


抱きしめると熱が伝わっていくような気がして、私でシュウを埋められる気がして離せなくなる。


そのまま2人でベットになだれ込めば、2人分の体重を支えきれなくなって私は横になった。


「そういえば最近来たあの子」


「何だ?」


「ユイちゃんだっけ?アヤトのお気に入りの」


私が話を振っても目の前の男は興味がなさそうに、そんな奴いたな、なんて呟いている。


相変わらず眠たそうな顔。


その顔を見て不意に愛おしさがこみあげてくる。


「どうした?」


私が笑っていたからか、彼はそう問いかけてきた。


口元には薄っすらと笑いを浮かべて。


「別に。ただ、私ってシュウが好きなんだなって思っただけ」


「そうか」


一言だけ呟いて私の頬に触れる。


相変わらずシュウの手は冷たい。


でも私はこの冷たい手が好き。


その感触を堪能していると、ぐっと顔を近づけられた。


耳元に吐息が感じられる。


「俺にはお前さえいればいい」


私もだよ、そう小さく呟いてそっと手を重ねた。







堕落したユートピア
取りあえず共依存が書きたかった
ゲーム後半のシュウ様のデレが大好きです

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