幸せの青い鳥 リターンズ

□助けに来たよ
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海賊たちは今
私の目の前で賭けをしている
全く呑気なものだ

銃声が外から聞こえ始めた
この音は…イゾウさん?

呑気にしていた海賊たちが
一気に慌ただしくなった
焦りの顔が見える
それはそうだろう
外には軽く20人は配置していた
それなのに銃声が着実に近づいてくる

1人血だらけの男が中に駆け込んできた
なにか言おうとして息絶える
後ろから下駄の気持ちのいい音がした

きっと海賊たちには
死神が近づいてくる音に聞こえていただろう

それでも相手は1人だと
海賊たちは食ってかかる
ものの10分もしないうちに片が付いた

男の子「やい!海賊!!!おねえちゃんがどうなってもいいのか!!!」

さっき助けた男の子だ
私に向ける銃口はカタカタと震えていた
この子はやはり海賊の仲間だったの?

イゾウさんは険しい顔で男の子に近づいてくる
とまれ!!ほんとうにうつぞ!!
と泣きそうな顔をしている男の子は
哀れにも思えてくる

イゾウさんは男の子の持った銃を蹴り飛ばし
私の方を見た

イゾウ「お嬢、怪我はないか?」

『はい、大丈夫です』

イゾウ「っったく!!俺の弟子のくせに何だこの有様は!」

頂上決戦以降
イゾウさんは私のことを
認めてくれていたらしく
厳しく指導してくれることもある

『ごめんなさい……』

大人しく縄を解いてもらっていると
隣にへたり込んでいる男の子が目に入った
彼はどうしてこんなことを…

イゾウ「さて坊主 話を聞かせてもらおうか」

イゾウさん…怖い……
男の子は嗚咽を漏らしながら
話してくれた

親父様が亡くなってからの
この島のこと海賊のこと
自分でどうにかしようとしたことも
彼は強い子だ

男の子「僕は…お前たち海賊なんて嫌いだ……この島を守ってくれなかった…白ひげ海賊団は…もっと嫌いだ……」

私は自然と男の子を抱きしめていた
守ってあげられなくてごめんね
こんな風にしてしまってごめんね
辛い思いをさせてごめんね……

イゾウ「悪かったな 坊主」

イゾウさんはクシャッと男の子の頭を撫でた
床で伸びている
海賊の親玉の胸ぐらを持ち上げた

イゾウ「これでわかったろ オヤジが死んだからって俺たちはオヤジが大事にしてきたもんは見捨てねぇってことが」

海賊の親玉は真っ青な顔をして
何度も頷いた

この島に親父様の遺産はないらしい
そもそも親父様の遺産なんてものは
残っていないらしい
強いて言うならスフィンクスくらいだ
海賊に村の男たちを解放させると
海賊を縛りあげて村の人々に託した
こいつらの賞金がどれほどか分からないけども
島の復興に少しでも足しになるだろうと

村の人達は口々にイゾウさんに
お礼を言っていた
イゾウさんはあまり嬉しくなさそうだ
それもそうだろう
親父様が……自分たちが……
この島を守ってあげれなくて
こうなってしまったのだから…
私も心苦しかった

イゾウさんと並んで船に戻っていると
青い炎が近づいてきた
あの美しい鳥は…
私の愛しい人

マルコ「美由紀!!」

『おかえり マルコ』

マルコ「お帰りじゃねぇよぃ!」

これみよがしにイゾウさんは
ニヤニヤしながら私の肩をだいた
イゾウさんの趣味は
多分マルコにいじわるすることなんだな




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