幸せの青い鳥 リターンズ

□またか
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精鋭部隊が出て行ってから1日経った
昨日の街の謎の視線といい
不気味なことが多くて
怖くて船の傍から離れられずにいた

ふらふらと船の周りを散歩していると
またあの不気味な視線を感じた
少し警戒しつつ
服の下に忍ばせたいる銃に手をかけた

ガサガサっと大きな音を立てて
出てきたのは小さな子どもだった
この島の子かな?

「お姉ちゃん、何してるの?」

『お散歩してるのよ ボクはこの島の子?』

「うん!」

まだ幼い男の子は元気に返事した
街は元気がなさそうだったが
子供たちは元気なのかも

「あのね、僕遊んでたらボールが引っかかっちゃったの…お姉ちゃん取ってくれる?」

可愛いくりくりした目で頼まれたら
断れるはずがない
二つ返事で男の子の後について行った

森の中のちょっとした広場の端の木に
私でもギリギリ届くかどうかと
言ったところに
ボールが引っかかっていた

背を伸ばて手を伸ばしてみるも
なかなか届かない
ジャンプしてみようかと1度振り返ると
知らない屈強な男達に囲まれていた
男の子の姿はない…
どういうことだろうか

『こんなに屈強な殿方達が集まって私に何の用ですか?』

そうか…この島にはまだほかの海賊が
滞在していたのかもしれない

「お前を売って金を手に入れるんだよ!」

『私、そんなに簡単に捕まらないわよ?』

敵は5人と言ったところ
私一人で倒せなくはない
男の子が無事だといいのだが…

男達が一斉に刀を向けてきた
私はどうにか避けつつ銃で応戦した

1人…2人…3人…順調に倒して行った

「お姉ちゃん!」

しまった!!
まだ近くに男の子がいたのか…!
声がする方へ視線を向けたが
これが仇となった
後ろから男に掴まれて私の動きは封じられた
やられたっ…

「よくやったな」

目の前で男の子が何故か褒められていた
男の子は嫌そうな顔をしているが
逃げはしなかった
全く理解がついて行かない…

『どういうこと…?』

「よしその女を連れて行け」

「ったく…よくも3人も手負いにしやがって…」

口に布を突っ込まれて声も出せないまま
私は無力にも男に攫われた
油断した……っ!


男に連れてこられたのは
寂れた工場跡のようなところだ
手も足も縛られ声も出せず
銃も取り上げられた私は
為す術もない

工場には思ったよりも多くの海賊がいた
30人はいるだろうか…?

あーもー
マルコといい子にお留守番してるって
約束したのに…
また約束を守れそうにない

それにしてもあの小さな男の子は
この男達と一体どんな関係があるのだろう…

何にしてもまずはここからの
脱出が最優先だ

「くそっ!この女白ひげのとこの奴なのに手配書がねぇ!」

海賊としてどうなのかと思うけど
そう、私の手配書はまだない

「本当に白ひげのとこの奴なのか?」

このまま行けば
上手く逃げられるかもしれない
私が白ひげ海賊団に所属していたことが
バレなければ…

「おい!この女のペンダント…!」

あーーーそうだった…
今この笛を吹いても
愛しい彼はやってこない

バレてしまっては仕方ない
さてはてどうやって逃げるか…

「使えねぇな!手配書がないんじゃ売ってもたかが知れてる」

…手配書が出ててもたかが知れてるでしょ…

「仕方ねぇこいつ餌にして白ひげの誰か呼び出すか…おい!ガキを連れてこい!」

さっきの男の子か…
あの子はどうしてこんなこと……

「おい、さっきの船の近くの男を誰か連れてくるんだ、いいか1人だけだぞ」

「…はい」

男の子は小さな声で答えた
周りの男達は白ひげ海賊団でも
1人だけならどうにかなると
思っているらしい
嬉しい誤算だが…
やっぱり男の子が心配だ…




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