幸せの青い鳥 リターンズ

□視線
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私たちは商店を出ると
ひたすらに黙って帰路を辿った

かける言葉が見つからない
サッチも俯いて暗い表情だ…

重い沈黙を先に破ったのは
サッチの方だった

サッチ「前はな気のいいおっちゃんだったんだ」

サッチの笑顔は寂しそうだった

サッチ「親父の名前が無くなって相当辛い目にあったのかもしれねぇな もともとこの海域は治安がいい方じゃねぇから」

この島がある海域はおやじ様のお墓や
スフィンクスがある場所から
そう遠くないのだ
マルコから少しだけ聞いた昔話
スフィンクスがある島も治安が悪かったらしい
そんなことが嘘のように穏やかな島だった
航海も然り
おやじ様の名前で抑圧されていた
その辺の無法者達が抑えがなくなり
所狭しと荒らし回っているのだろう
この島も例外じゃない

黙々と歩いていると
なんだか嫌な視線を感じた
ゾッとするような視線
ぱっと周りを見回してみても
人がいる様子はない…

不意にサッチが私の方を抱いた
何事かと思い見上げると
サッチも険しい顔をして
周りを見回していた

サッチ「さっさと船に帰った方が良さそうだな…」

サッチは私を何かから庇うようにしながら
早歩きで船へと向かった

船に着くとなんだか周りが慌ただしかった
最近の白ひげ海賊団は落ち着かない
不安が募るばかりだ

何を慌ただしくしていたのかと思ったら
なんでもこの先のナワバリの島が
海賊に襲われているらしい

一刻も早く行くために少数精鋭で行くらしい
選ばれたのは
マルコ、エース、ナミュールの3人と
部下数名

エースはストライカーの準備をして
ナミュールはサメたちに指示出しをしている
それぞれ向かうことになった人たちも
武器を磨いたりなんだりと
落ち着きがない

荷物を置きに行っていたサッチが
戻ってきた

サッチ「美由紀ちゃん、マルコが探してたぜ」

出かける前に何か用があるのかもしれない
サッチにお礼を言って急いで向かった


ノックをするといつもと変わらぬ
マルコの声がした

『1番隊隊長は忙しくて大変だね』

マルコに声をかけると
最近構ってやれてねぇから拗ねてるのかよぃ?
と笑われた

マルコ「いい子で待ってるんだぞ?」

マルコは私の頭を優しく撫でた
これから戦いに行くのに
とても穏やかな顔をしていた

『マルコ…ひとつだけ約束して』

その顔をみて不安の色が
心にじわじわと広がっていった

マルコ「なんだよぃ?」

そっとマルコの背中に手を回した

『死なないで。』

マルコが強いことは知ってるけど…
深刻そうな私を見てマルコは爆笑した
失礼なパイナップルめ…

マルコ「俺が死ぬかよぃ?不死鳥マルコだぞ?」

爆笑したくせに
優しく抱き締め返してくれた

『わかってるけど…離れるのが怖い』

きっと情けない顔してるから
マルコには見せたくない
ひとしきり別れを惜しみ
マルコの腕にそっとログポースを付けた

海辺ではもうみんな準備万端で待っていた

エース「おせぇぞ!マルコ!」

マルコ「悪ぃ、よし…行くぞ!」

雄叫びが響き
水しぶきを上げて
サメの背に付けられた小舟と
エースのストライカーは動き出し
マルコは炎を纏って空へと舞い上がった

「いってらっしゃい…」

絶対に帰ってきて…




エース「うわっ…マルコ何ニヤニヤしてんだよ」

マルコ「うるせぇよぃ」

あんなに可愛い美由紀を見たのだ
ニヤニヤ緩む顔を抑えることが出来ない

雑魚なんざサッサと片付けて
早く美由紀の元へ帰りたい




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