幸せの青い鳥 リターンズ

□航海の行先は
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平和な航海はどのくらい続いただろう
朝起きると遠くの方に島が見えてきた
数時間もすれば島に着くだろう

島について唖然とした
美しかったであろう港は
見る影もなく人っ子一人見当たらない
他のクルーも唖然としていた

近くにいたクルーに話を聞くと
ここは白ひげ海賊団のナワバリだったそうだ
貝殻のように真っ白な壁の
美しい建物が立ち並んでいて
いつでもどこからか人の声がする
賑やかな街だったそうだ
親父様の名前が抑制力にならなくなり
このようなことになったのだろうか

各隊長の指示に基づき
停泊の準備が進められた
あの島では物資がなかったので
この島でとりあえず
物資調達の予定だったのだろうか
でも港がこれじゃ物資なんて…
なんにせよこのまま航海を進めても
海の上で物資がそこを尽きてしまう

マルコ「美由紀、ここにいたのかよぃ」

マルコに呼び止められて
私は手伝っていた手を止めた

マルコ「この島では常に誰かと一緒にいろぃ 想像以上に治安が悪くなってやがる」

街の方まで偵察に行っていたマルコは
苦い顔をしていた
最近マルコはこの顔ばかりしている
まぁ私も問題を起こしたくないので
こくりと頷いた

そんなに治安が悪いのだろうか…
少しこの街にいることが不安になってきた
あんな戦場には意気揚々と向かえたのに

不安は不安だけど
やっぱりちょっと街の様子が気になって
サッチと一緒に買い出しに出かけた
もちろんマルコも了承済みで!

街の商店街もほとんど人は歩いていなかった
お店もシャッターが
閉まっているとこの方が多いのでは
ないだろうか

サッチ「いつもはもっと賑わってるんだぜ」

サッチはどことなく寂しそうだった

空いているお店に入りリストにあるものを
探していると奥から怯えたように
店主がそっと顔を出していた
私の姿を見て少し安心したらしく
そのままでてきて
いらっしゃいませと声をかけてくれた

「お嬢さん、ここいらじゃ見ない顔だねぇ どこからきたんだい?」

『さっき船で着いたところなんです』

おじさんは心底不思議そうに
船でか?と聞き返してきた
この島は別の島との交流が
あまりないのだろうか?

おじさんは少し私のことを
警戒しつつも私が探しているものを
一緒に探してくれるようだった
私の買い物リストを見ると
また安心したような顔になった
リストの内容が近所の子が
お使いに来たような
内容だったからかもしれない

親切なおじさんはせっせと
リストのもののところまで
連れていってくれた

サッチ「美由紀ちゃん、リストのものは見つかったか??」

曲がり角からひょっこりと
顔を出したサッチに
おじさんは幽霊を見たかのような
叫び声を上げた
私までびっくりしてしまった

サッチ「おー!おっちゃん!久しぶりだな」

おじさんのことをサッチは知っているらしい
人懐こい笑顔で手を振ると
おじさんは泣きそうな困ったような
怒ったような…色々な感情が
ごちゃ混ぜになったような顔をした

「お嬢ちゃん、悪いが帰ってくれ」

『えっ…?』

おじさんは一緒に持っていてくれた
買い物の荷物を私に無造作に押し付けると
カウンターの方へと急いだ
サッチも困惑している

サッチ「おっちゃん、どうしたんだよ?」

「頼むから帰ってくれ!手に持った商品のお代はいらない!!」

怯えたようにカウンターの裏に入ると
シッシッと虫を払うようにした
サッチはおじさんのことを
知っているようなのに
一体どうしてなのだろうか




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