幸せの青い鳥 2

□家族の笑顔
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バッと飛び起きると
そこは静かな私の部屋
ゆらゆらと不規則に揺る
額からは汗が滴り落ちた
ああ、またあの夢だ…
ティーチに会ったその日から
何度となくこの悪夢が繰り返される
目を瞑って夢に意識を預けるのが
怖くなってしまうほどに
のそのそとベッドから這い出ると
私は外の空気を吸おうと
薄手の上着を羽織って外へ出た

空はまだ薄暗く寂しがり屋の星たちが
まだ顔を出していたいと
駄々をこねているようだ
波は穏やかでとても静かだった
船縁に寄りかかって見えるはずもない
海の底をジッと見つめた

マルコ「怖い夢でも見たのかい?」

優しい声がした
振り返ると目の下にクマを作った
マルコが立っていた
縄張りの島が狙われたりなんだりで
最近は特に忙しかったらしい
そんな疲れているマルコに
私の悩みなんて言えない

『うん、ちょっとだけね でももう大丈夫、夢だもん』

そうは言ったものの
夢に出てきたマルコを思い出す
そして連鎖的に他の家族も…
最後に出てきたのはティーチの
あの勝ち誇ったような嫌らしい笑み…
恐怖と怒りに体が震えた

マルコ「なにが大丈夫だよぃ、震えてるじゃねぇか」

マルコはそっと私を包み込んでくれた
その優しさに思わず涙がこぼれた
マルコはよしよしと頭を撫でた

『あのね…マルコが…みんなが…親父様が…死んでしまう夢を見たの…』

マルコ「俺たちはすぐ死ぬほどヤワじゃねぇよぃ それに俺は不死鳥だよぃ?」

マルコはまさか冗談をと笑った
確かにみんなタフだし
殺しても死にそうにない人ばっかりだ
でも…だけど…
これは現実になりうるから…
少なくとも親父様もエースも
サッチも…

私は意を決して未来の話をした
少しだけほんの少しだけ
マルコにこんなもの
本当は背負わせたくない
絶対私より辛い思いをしてしまうから
だからその時まで心に留めておこうと
そう思ったのに
マルコの優しさに気が緩んだのかな

『覚えてる?ここは漫画の世界と言ったこと』

マルコ「ああ、衝撃的だったからねぃ」

『私はだから未来を知っているの』

マルコ「未来…?」

マルコは少し怪訝そうな顔をした
でも黙って私の話を聞いてくれる

『あのね…これから先…どんなに楽しい毎日が続こうと絶対に壊されるの…ある人のせいでね』

ゆっくりゆっくりと話す
マルコは私の話すいつもの
トーンと違うことに気がついたのか
真剣な眼差しで話を聞いてくれる

『ある人は…私たちの身近に潜んでいるの…ずっとずっと隙を伺っていて…その時が来たら…私たちの幸せを…いとも簡単に崩していくの…』

一息付いてまた話を始める

『そこから大きな戦争になってたくさん家族が死んでいくの…全ての発端は…私たちのとっても身近な人が殺されたこと…』

これを言ったらマルコに嫌われるかな
怒られるかな
冗談でもそんなこというのは許さない
って怒鳴られるかな…
だけど大切なことだから…

『このまま何もしないでいると…私たち家族が最も尊敬して最も愛している人が死んでしまうの』

最後の悪あがきで名前は伏せたけど
きっとマルコは気がついている
だってとっても驚いた顔をしているし
それと同時に瞳に怒りの炎を灯した

『変なこと言ってごめん…忘れて…』

嘘じゃないけどやっぱり重すぎる
マルコに背負わせたくない
顔を伏せてまた溢れ出そうになる
涙をグッとこらえた
マルコは力強く私を抱きしめた

マルコ「お前はそんな嘘言わねェ…そう俺は信じたい…だからお前の言うことを信じる…そんな重たいもの1人で背負込むんじゃねェよぃ」

そう優しく囁いてくれた
絶対に嫌われるって怒られるって
そう思ってたのに
こんな優しくされてしまったら
この重荷をマルコにも背負わせてしまう
私は弱いから…

マルコ「今の話は俺たちだけの秘密だ…他の奴らに言って疑心暗鬼になってもパニックになっても良くねぇからな」

そう言って私のおでこに
そっとキスを落とした


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