ここ様リクエスト八田の女としての自覚が少ない、で女体です(。-∀-)
なんかモブがいます、てへ(可愛くない)




*********************









「八田美咲、男、十九歳。やんな?」


バーのカウンターから一枚の資料をひらひらと仰がせ乍
草薙は眼前の男でない八田美咲に声を掛けた。


「そうすよ!俺っす、俺だってば!」


すると少しの間も開けず目の前の華奢な体型の女の子が口を開く、
断固譲れないといった様子で俺だ俺だと主張するが
草薙、続いて鎌本、其々赤の王周防尊除いての全員は明らかに疑いの目で八田を凝視していた。
だが眼前の八田もどきにも男時代の八田の面影がないこともなかった、
赤っぽい茶髪の猫毛こそ八田そのものだった、が長さが鎖骨辺りまであり、
特徴的なつり目はやや丸みを帯びている、
何より八田の胸には男性あるまじき膨らみがあった。


「そのぉ…八田ちゃん、生憎吠舞羅にはな女のコはアンナしか居合わせて居らんのよ、女の八田ちゃんは――」



「だから俺がその男の八田なんすよ!朝起きたらこんな姿になってたんすって」


本当なんだと抗議する八田を横目に今まで黙っていた十束が楽しげに言葉を奏でた


「人間、異変あるものだねー」


「なんで楽しそうなんですか!」


カメラを八田に向け乍一人愉快げに微笑む十束はムードメーカーか否か。
だがのち八田の部屋に男の八田美咲がいないと確かめ終えた赤城が帰ってきた以上、
一同信じるしかない。


「よし、まぁじゃあ何故八田ちゃんが女の姿になってしもうたんか、謎を暴こうやないの」


結果的に何があろうと八田が女になってしまったのはかわりない事実なのだから
謎を暴かなくてはそのうち鎌本が女の姿になってしまうかもしれない、
そんなもの誰も望んでいないのだ。
その場にいたもの全てが思い当たる節を考える。

何分か、沈黙が続いた。



「猿、とかじゃないんですか?」


...と長い沈黙を破ったのは鎌本だった。
皆の視線が鎌本の方へと集まる、
鎌本は確信なさげに苦笑いを浮かべ乍食指をぴんとたてた。


「ほら、八田さん猿になにかと絡まれるし別に彼奴を疑うことも...」


鎌本の持論に一同が成る程、と首を縦に振る
八田はその話を聞くも表情が黒笑混じりの不敵なものに変貌し、
お手持ちのスケボーを抱えれば、出入り口の扉を開け走り出ていく


「や、八田さん?!まだ猿とは決まってないっす」


「俺の勘が彼奴だっていってるからいいんだよ!」


鎌本が八田の言葉に返事を返そうとした頃には、八田の姿は視力のお陰で見えなかった。










******













『猿があああああ!!!!』




街をうつしたモニターに映し出されたのは、
伏見が純愛する八田美咲の姿、いやでも違った。

誰だコイツは。
でも面影があるようなないような...

部下が指差したモニターには誰にもこなせるわけではないスケボーをまるで八田の如く器用にのり回す少女、
またおかしなことにその少女は伏見、自分のことを猿と呼んでいる、
いや以前に名前を知られている時点から不思議だ。


「…美咲?」


思わずそう呟く、今更に考えればその少女は八田と重なるものが多すぎる、
八田としか思えない。見詰めていたモニターに背を向ければ淡島に見付からぬようにそっと脱走を試みた。








********








女と言うものは不便だ、そう思うのは今まで男の身体だったものだから慣れないものだからだ。
色んなところが重たい、妙に肩が凝る、髪の毛も伸びたせいではたはたと風に靡いて非常に不快だった。


「尊さん、この姿みたらどう思うかな」


あの場にいなかったとある男のことを考える、
恋愛とは違うが八田は周防のことが好きだった、
違う言い方をすれば憧れていた。
強さに、性分に。だからこそ、女の姿は見られたくない、
吠舞羅の特攻隊として必要なくなればあそこにいる意味はなくなるから、
不要だと思われたくないのだ、今更にそう考えたら早く飛び出してきてよかったと安堵のため息が漏れた。
その時。


「八田ちゃん!」


背後から草薙の声が聞こえた、
さっと背後を振り向けば遠すぎて豆粒サイズに見える草薙が走ってきている、
よくあんな大きい声出たな、と考えつつそちらに近づいていけば息を切らした草薙に手首を掴まれ路地裏に連れてかれた。


「八田ちゃん、大事なこと忘れとったわ俺ら。」


「なんすか?」


路地裏に入って少し歩いたところで草薙が八田をじいと見つめる、
やがて口を開けば深刻そうにことを告げた後、
八田の疑問が帰ってこれば手に持っていた袋を八田に差し出した。


「なんすか、此れ」


「中みたら分かる。」


意味深げに双眸を伏せる草薙をみるも
袋を受け取れば躊躇なく開く、と中に入っていたのは紛れもない女性用下着と服だった。


「…?!っあがかはなたか!!??ΣΣ」


咄嗟に下へ袋を落とすと草薙の表情が苦笑いへと変わる、
堪忍なと手を合わせる様子こそ、何かの陰謀だと考えてしまいそうになった。
さすがに八田も元は男の身だ、女性の下着をつけるなど考えもしなかったことで
プライドと言うものもある。


「此れは…絶対すか?」


「絶対や、嫌なら着せろまで言われとるわ、自分で着る?俺が着せたろか」


「…っ、着…ますよ自分で」


不服そうな表情を浮かべながら八田は上の服に手を掛けべっ、と無心に脱ぐ、
ぶかぶかだった服が脱げたことの解放感が一瞬きたその瞬間草薙の怒号が飛んだ


「何やっとんじあああ八田ぁあ!」


「Σ」


視線すら合わせてこないものの、草薙の食指は確かに八田の胸へと向けられていた、
下着をつけていない状態ですべての上部の服を脱ぎ捨ててしまった八田は女あるまじき姿を外でしてしまったのだ、
路地裏だからよかったもの、街中だったらどうするんだと草薙は目を逸らしながらため息混じりに呟く、
八田はかああと沸騰しそうになるほど頬を紅潮させれば脱ぎ捨てた服で胸元を隠した、


「別に此処で着替えんでいいさかいに...まだ着といたら?別のとこで着がええや」


「...もう、いいっす、」


脱力感ばりばりの様子で慣れない下着を装着した後まるでアンナが普段着ているようなレースのワンピースが袋から顔を出す、
着たくないと言ってもどうせ聞く耳を持ってくれないだろうと肩を下ろしながら
すっぽりその服を身に纏った、えらい似合うなあと草薙の声が上がる。
全然嬉しくないものの一応笑みを浮かべたが苦笑いになっていただろう、
用を済ませた草薙は自らの着ていたジャケットを八田の肩に掛けた後
ひらひらと手を振ってバーに帰っていった。


「置いてけぼりかよ...」


すこし不服げに八田がそう呟いたのは誰にも聞こえなかったろう。





あれから何時間か経った。
未だに猿は見付からない。
いや見付からないのは八田が路地から出ようとしないからだ、
知り合いにあって馬鹿にされたらもともこもない。


「腹減ったぁ…。」


今思えば朝起きて女になってることに気付いて色々仲間に言われて犯人は猿だ疑惑が出て探しに行くため飛び出した。
だから朝から何も口にしていなかった。
ぐぅー、と締まりない腹の虫の音がなれば力尽きたように路地の壁へと凭れ座り込む、
双眸を少々眇めれば深いため息をついた。
刹那


「ぎゃははははあああ吠舞羅にいる赤の王、また喧嘩していろんなやつら燃やしたらしいぜ?」



「力だけにいきがってんだろアイツ」


付近から自らのしかえる尊敬すべき人の悪口が聞こえた
一気に頭に血が上るのを感じる、気がつけばいつの間にかスケボー片手にその黒スーツに身を包んだヤクザのような連中の手前にたっている自分がいた、
女の姿だということはすっかりと忘れて。


「なんだあ?嬢ちゃん、オジサンたちに何かようかい?」


「今、尊さんのこと…馬鹿にしやがっただろ…!」


殺意を放ちながら八田は連中等を鋭い眼光で睨み付ける、
でもたかが女に睨まれようとひるまぬ器ではないということに気づいた頃には時は少し遅かった。


「嬢ちゃん赤の王の臣下かい?それとも―――彼女?」


すこし考え事をしていたせいで気を抜いており
はっ、と正気に戻った頃には八田の手首は目の前の男によって丸めとられていた。
底知れない恐怖感、いや緊張感が湧く、
だが相手に弱味を見せるわけにもいかないかった。


「お前らには関係ねえだろ、つか汚ぇ手で触んな」


いつもの調子を。
それを考えつつその相手の手から逃れようとする、
普段ならできることの筈なのに、腕に力を入れることが出来なかった。


「くっそ、離せよ!!」





「おじさんたちに歯向かうから悪いんだよ?」



少々もがいていると、眼前の男の声と同時に、太股に忍び込んだざらりとした感触の手があった、
身が震え上がる。
太股の形に沿ってすす、と撫でられるように触れられ段々と上に上がっていくごと声が出そうになった。


「や、…っめろ…ッっ糞じじい!」


咄嗟に足を振り上げる、が簡単に受け止められる始末、
先程とは違ってれっきとした恐怖心が生まれた、
男の顔がだんだんと近付いてくる、
唇が触れそうになるそのちょうど瞬間だった。

目の前が青になったのは。



「伏見緊急抜刀。」










***********



















―――...


「猿!」


八田のもつ炎とは違う青い炎が眼前を照らして、
そんなことに気をとられている驚く間に伏見は八田を守るよう男と八田を引き離した中心にいた。
男達は先先の態度は現在見られず、随分と情けないこと腰を抜かしている。
それはそうだろう、アイツらの目の前にいるのはセプター4、通称青服。
セプター4は街の警察みたいなもの故にこんな姿を晒しては痴漢で手に輪をガシャンだろう、
ワッパをつけられては終わりなのだからそりゃ態度も変わるわな。
と八田は頭のなかで声には出さず考えた、
伏見は気だるげな伏せがちの双眸を普段よりか開き彼らを睨みあげれば終い、
案の定虎とであったウサギの如くといったものだろうか、
足の爪先から頭の旋毛まで震え上がらせていた。
ざまあみろ、なんて憎たらしいことを考えていた八田の思考を止めさせたのはさっきどうよう伏見である。


「で、アンタ」


ぐいと伏見は八田の肩を掴めば己の方へと無理矢理に向かせる、
八田は突然のことに双眸を見開くもまるで全て絡めとるような八田の目を凝視する外さない伏見の視線と
己の視線を合わせてしまえば先程の男らと同様金縛りのように動けなくなる。
つたりと頬に汗が滑るのが八田自身でもわかった


「触んじゃねえよ…!」


何分も、其の状態が続いて段々と腰が痛くなってくる、
伏見は今だ八田をじいと見つめていて、ひきつったあまりの腰の痛みに思わず視線をずらしては伏見の手を払い除けた。
先先の男らが伏見に背を向けて逃げている最中
伏見はそちらに視線ひとつ向けようとせず八田に叩かれた手をまじまじと見詰めている、
刹那伏見がにいと口角を吊り上げたのが見えた。


「お前、やっぱり美咲だな?」


鋭い直感に驚愕する、思わず顔が顰る。
へらへらと笑みを浮かべ乍物珍しそうに此方を見詰めてくる伏見の視線が無性にムカついてぷいと逸らしてやったら
ふいに、そして躊躇なく押し倒された。伏見は八田に覆い被さるようになれば厭らしい含み笑いを見せる。


「美咲ぃ、お前もう女の下着つけてやがんのかあ?今日から美咲ちゃんって呼んでやろーか?ああ?美咲ちゃあーん」


押し倒された瞬間に捲れたスカートのせいで見えてしまった下着に視線を遣っては愉快げに問いを投げてくる伏見、
八田は咄嗟にスカートを元に戻しては己に跨がる伏見を睨みあげるにつれて又
無性に腹がたちグーで伏見の腹を殴れば伏見が怯んだすきに覆い被さられる状態から解放することができた。


「ってーな美咲ちゃーん」


「ちゃんとかつけんじゃねー!下の名前でも呼ぶんじゃねえ!馴れ馴れしいんだよばあか!」


その場を猛急ぎで立ち上がり
初め路地裏へと入ってきた方角へと向かって走る、
べーっと舌をだし伏見をからかいつつ全力を出して走り出そうとした其のときだった、


「美咲、最後に一個!」


と言うものだから腹にクリーンヒットさせた情けと言うものだろうか、
振り返ってやれば伏見が壁にもたれかかり乍八田のスカートに指を指す。
八田はゆるりと首をかしげるに続いてスカートを見る

......が何もない。


「嘘つくんじゃねーよ!!!」


「嘘じゃない、後ろ見てみろよ」


伏見は笑い堪えながらまた八田のスカートに指を指す、
八田は腰をみるため首を捻れば伏見の言う通り、
派手にスカートは捲れ上がっていた。


「ふがっΣ」


「だから言っただろーが」


気づいた瞬時スカートを戻せば無意識に顔が火照る、
こっち見んな、と小言に漏らせば伏見はそれを聞き逃さずじゃあ可愛い顔すんなと意地悪く返してくる。
これ以上会話を続けたら正気でいられないような気がしてき、
八田はスカートをしっかり整えればまた出口へと猛ダッシュしてその場を撤退してやった。













********














紅潮して火照った頬が、顔が熱い、ぼーっとして思考の回転が悪い。
今更に路地裏でスケボーを置いてきたことに気づくはめだ、
情けなくてまた溜め息が出る。
街の歩行者道路を歩きながら双眸を眇る、やけに収まらない頬の熱に色々自覚させられた気がしてまた無性に腹がたった。









*********










「ただいま、」


扉を押すとからん、とベルの音が鳴って
見慣れた風景が視界に映った。
続いてアルコールの匂いが鼻を擽る。
其の後にやっと仲間たちからの声を浴びた。


「変な男に触られなかったっすかー?八田さん」


「八田さんに限って寄せ付けもしないでしょー男なんて。」


「そんなことより八田ちゃん猿はどうやった?」


勘の働く鎌本を(相手は気付いていないが)睨み付けてやったあと
其の言葉に同意した赤城にガンを飛ばしてやったが結局はどちらにも気付かれなかったというオチだ、
そんななか草薙の質問ののみが返答なしに空を切る。
猿は八田の事を始め誰だか気付いていなかったのだから猿がやった訳じゃないと思う、
ならこれはどういった異変で変化したのだろう、女性ホルモンがこうたらこうたらでなんちゃらになる、
なんて難しい話になるとわからないからできるだけ単純な理由にしてほしい、
例えばそれは夢落ちとか夢落ちとか夢落ちとか。


頭を抱えて悩みたくなるくらい深刻な現状に浸っては肩を落とす、
本当にずっとこのままだったらと思うも考えるだけで負のオーラを撒き散らすだろう。
だが今、それと対等くらいに八田の眉間に皺を寄せる出来事が起こる、
それは鎌本の不本意に発しられた一言の言葉だった。


「八田さん、いっそのこと其の格好でずっといたらどうっすか?俺たちも静かにいれるしー。」







...
遠慮なく言わせてもらおう。
こいつ、殺して良いですか?

現在の八田の表情は微笑んでいるとは言えず、
怒っているとも言えず無言な現状にて口許だけ笑っているパーツをくっつけたというような人形のような所謂黒笑いだった。
じりじりと近づいて相手を威嚇しているうち、先前barのカウンターで食器を磨いていた草薙が煙草を吸っており、
其の煙草の灰をとんとんと灰皿を落とせば白い煙たい吐息を吐き出し乍にゆるく首を傾ける。



「まあまあ八田ちゃん許したりいな、其の阿呆共やって悪気はなかったんよ」


「阿呆共言いましたね阿呆共って」


草薙のサングラスのレンズ越しに見える柔和に細めさせた優しげな瞳と
口調に思わず息詰まれば俯いてこくこく頷くしかできぬものだから実に恥ずかしいこの上なかった。



其の後、朝から走り回ったものだから疲れが溜まっていたのだろう草薙に出されたオレンジジュースのストローをくわえながら
寝たときには本当に器用だと笑いを受けたことである。













**************




「―――っ」



意識が覚醒したのは既に空が橙色に染まり始めている時の事だった。
烏の声が外を響かせるなかやっとにからだが軽くなったことに気づく。


「マジ…?此やっぱ夢だったのかよ?!」


眠りにつくまであった胸がなく鎖骨まであった髪ももとの長さに戻っている、
今度は逆にからだが軽くて仕方ない。
ぐぐ、と伸びをしたあと異常なほどしんと静まり返ったbarを後にして
またからんとベルの音を奏でながら扉を開けてみた其のすぐ足元に、見覚えのあるスケボーがひとつ。
普段なら部屋に置いているか持ち歩いているのだと思うのだが外に置くというのはあまりしたことがない、
クエスチョンマークをひとつ浮かべつつそれを手に持ってみるとひらり、一枚の書き置きのような紙が舞い落ちた。

特徴ある綺麗なようで汚いようで普通な其の字で書かれた内容を読んでみたら、
思わず瞳孔が開いたのをまだ覚えている。








『お前は本当忘れもん多いよな、何、俺んとこに忘れ物してまた会おう作戦?なにお前女子みてーだな美咲。』


『まあ、俺は仕事あるからスケボーは此処においてくけど、最後に。』









『“女の姿の美咲、かわいかったぜ?”』















あれ、夢落ちじゃ…。



――――――


ここ様リクエストでした(^q^)
完全に方向見失ってしまい申し訳ないです、
駄文ごめんなさいスライディング土下座します!ズザザァァァア


とまあ、消化させていただきやした!
この度はリクエスト有り難うございました!

[TOPへ]
[カスタマイズ]




©フォレストページ