其を掛けていると秀才、賢い、何でも出来そう
なんて淡い期待を持たれる事がある。
たったひとつの其の物は周りによく影響するらしい。
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「猿!眼鏡かーしてっ、」
黒が基調とされている制服を身に纏った茶髪の青年亦は少年と呼ぶべきな程小柄な男こと八田美咲が、
伏見猿比古の目の前に細い手を出していた。
其れを見遣る伏見は嫌そうに軽蔑した様な細めた瞳で彼と出された手を交互に見る、
それでも手を引っ込めようとしない八田はねばちっこい性格をしているのではないかと周りを思わせた。
「…嫌。」
ふるふると首を横に振って面倒臭いものだからと拒むが、
其を不服げに八田に睨まれる、
頬まで膨らませて俺を殺そうとしているらしい、
萌え殺そうとしているらしい、
お望ならばひとつ死んだフリでもしてやろうかと思ったがそれも其れで八田必殺キックを喰らいそうだった為躊躇った。
「ほら、美咲、眼鏡って掛けたり外したりを繰り返すと段々視力がなくなっていくらしいんだよ」
到底伏見には正直視力が無くなろうと困りはしないのだが
まず外すのが面倒だ、
動くのが面倒なんだ。
とそんなこと言っても廃人と化した伏見の意志なんて八田は聞き入れないに決まっているだろうから
敢えて正論を述べて八田を黙らせる作戦にしたのだが。
「オマエの視力がどうなろうと俺には関係ない」
真顔だった。
最早伏見の事など眼中になく早く眼鏡を掛けたいの一心で述べただろう一言だと思いたいものだ。
八田はカウンター席に座る伏見の服の裾をくいくいとひっぱってねだってくる、
全然諦める気もない表情だ、
「…てかなんでそんなにかけたいんだよ、眼鏡」
「賢そうにみえんだろ!」
そうか、美咲、馬鹿だもんな。そりゃ賢く偽りでも一回は見てもらいてぇよな。
わかる、わかるよ。
でも無理だろう。
伏見の頭の中は整理ができた。レベルがあがった。
「美咲はそのままが一番いんだから、眼鏡なんて似合わねェよ。」
取り敢えず本音を交えた言葉を相手に掛ける。
八田の事だ、こんな言葉では引き下がらないだろう。
どうせまた怒号を上げて掴みかかってくる落ちなんだから早く対処法を見つけないとと考えた午後。
「…ほんと?」
八田は伏見の思うより、
随分とある意味大人になっていた
「あざといよ美咲Σ「ハァ?!」
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「みぃ、さぁ、きぃー。」
それは八田が草薙に買い物を頼まれてスーパーに向かっていた矢先の事。
スケボーに乗り乍道路を渡ったら、聞き覚えのある声が公園から響いてきた。
「…、猿比古。下の名前で呼ぶなって言ってんだろ!」
スケボーから降りてズカズカと猿の方へと歩いて行ったら、
急に眼元が普段より少々重いことと世界がぐにゃ、と歪んでいることに気付いた
「な、んだこれ!!!?」
咄嗟に目を手で抑える、すると何か爪にかつんと固いものが当たった。
其れを恐る恐る掴んではそっと外す。
「眼鏡?」
「そーそー眼鏡、美咲がずっとかけたいって言ってたろ?」
眼前で鼻血(←)をぬぐう猿比古を横目に八田は手に持った伏見の私物と思われる眼鏡に視界の中心に納める。
レンズが太陽から反射して眩い光を放っているものだから少々眩しく感じ双眸を眇めた。
「…よく覚えてたな、ンなしょうもねェ事。」
懐かしい中学時代の記憶。
寧ろ自分が忘れかけていたことを伏見が覚えており今に話の行動を実行するなんて。
と思うと馬鹿らしくて少々笑いが漏れた。
「、記憶力良いんだぜ?俺、…まぁ美咲に眼鏡萌え出来たから俺も清清しい気分さ。」
前言撤回。
「…オマエなんか燃え散れえええ!!!!「萌え散るうううry」
昔の猿比古に会いたいなんて。絶対叶わない夢だ。どうしてこんな変態になってしまったんだろうと、俺が悔やむばかりである。
美咲が一回かけた眼鏡…もう一生洗わない…!(Σ)
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何故俺の描く猿美はもっと可愛い事ができないんだΣ
え、−っとハイ、零さまリクエスト伏見の眼鏡に関する…話…の筈です←
本当馬鹿な猿美しかいない!どうしたのもっと文才欲しいです、あふ←
遅くなり申し訳ありません!
リクエスト有難う御座いました!!!