白髪の髪が、まるで絹の糸のようにたなびいていた。
キラキラと光沢を見せる其の少女の髪を見詰めて、
数分たった頃だろう、凜と高い声が耳に届いた


「もしかしてさ君、八田くんって人?しろの好きな八田って人なの?」


さっぱり意味が理解できなかった。
其以前に彼女が全裸だと気付くや顔を瞬時逸らしたものだから
表情がみえないゆえに真理が読み取れない。
DT卒業無の八田にとって、
眼前に裸体の少女がいると思えばリンゴのように真っ赤に顔が染まってゆくものだから本当恥ずかしい、
それももう、耐えられなくなった頃には腰に巻いていた赤色の服を少女に無理矢理つき渡していた。
でもそんな気遣いすら受け取らないとぶんぶん首を振っては押し返してきた、
非常に困ったことなんて八田にしかわからないだろうに。


「て言うかテメー誰だよ!しろって誰だ、無色の王のことか!?」


「し、しろはしろなので何者でもないもん!其に吾輩はネコである!」


「猫?!」


「ネコである!」


現在まで考えていた疑問をいきなりにざっと吐き出すとネコはびくりと肩を揺らし数回まばたきをしてから、
一切噛まずに早口で返答してはオッドアイの双眸を輝かせながらむんと胸を張る。
真っ白な背景、景色から、白髪の髪、自称猫。
先程から起こる怪奇的な現象に苦笑いを浮かべては溜め息を吐いた。


「…いや、つか此処どこ、…すか?早くもとの所に戻せ…よ。」


女慣れしていないせいか、いつも以上に敬語になる。
そんな自分に腹をたてるや束の間ネコは八田の手をぎゅうを握ってまたいやいやと首を振った。


「だめなの!美咲は吾輩とずっと此処にいるんだもん!イヤメガネ達となんて帰さないんだから」


「イヤメガネって誰Σ、つかなに当たり前みてーにしたの名前で呼んでんだテメー!」


「とにかくっ、美咲は吾輩のなの!吾輩の美咲なの!「違います!」



ネコに続いて八田もぶんぶんと首を振り始めてはただの駄々のこねあいのようになってきた、
そして遂にネコは目尻に涙をためつつガバッと八田に抱き付き、
ウブな八田が鼻血を噴出させたそのとき。


宗像の力によってネコの能力が解かれた。



全員の目に映ったのは。
全裸少女に抱きつかれ鼻血を垂らす衝撃的な


公開プレイだったと言う。









「美咲ぃ、お前なにやってんだよ」



伏見は頬を緩め、口許は弧を描いてはずいずいと八田に近付いてゆく、八田はネコに引っ張られながらじょじょに其から距離を置くが伏見は情けなく大股の歩幅でくるものだから捉えられるのも遅くはなかった。
伏見の右手が八田の肩をつかむ、其の瞬間ネコが牙を剥くがそんなものには目もくれず八田の鋭い双眸を真っ直ぐ見詰めていた。


「美咲ィ?逃げなくたって良いだろう、」


「そうですよ八田君、伏見くんなんてやめて私のところに来たらどうですか」


「その前に私の部屋にくるのよ八田美咲」


「ちょちょっ、僕らをおいて話を進めないでおくれよ」


「赤の王臣下八田美咲、俺と一緒に来い」


「にゃー!いくらしろでも美咲はネコのなんだからあっ絶対絶対ぜえーったいネコのなんだから!」




伏見が話し出すのを合図に全員が口をひらき始めて
また始まった子供のような喧嘩に、
心のそこからあきれて。
お先にbarHOMRAに全力失踪させてもらった。






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