遊び足りない

□その二
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「せんせー!ビチコがいませーん!」

朝のSHR。そう声をあげたのは、美代の友人のノリコ。
例の名付け親だ。

「あ?いつか来るだろあいつの事だ」

担任は投げやりに言った。

「せんせー。ビチコにカツラ取られたからって投げやりすぎですー」
「その話はすんじゃねぇぇぇ!」

そのやりとりで、教室中がドッと湧いた。
そう。

担任は、あの茂ってない佐藤茂なのだ。

茂は、あ あえて茂と呼ばせてもらう。 茂は、頭をカツラを押さえつけた。



そんなことするくらいなら、リーブO1に代えろ、と思う日吉だった。




茂「・・・ビチ子以外に休みいるか?」

『休みじゃない!』



声がしたかと思うと、突如窓から現れた美代。

“窓”から現れた。

茂「なにしてんのお前ー!!!」

驚いて声をあげる茂。生徒達は口をポカンとあけていた。

そんなことはおかまいなしに、美代は口を開いた。


『あたしは遅刻か?』

日吉首を横に向けた。

すぐ隣に美代がいるからだ。

日吉「ギリギリだ・・・。それより、どうやって登ってきた?」


ここは、“三階”だ。

『ギリギリか・・んしょ』

日吉「人の話を、て・・・それかよ」


美代は、縄ばしごを引き上げていた。

それで登ってきた事が分かった。

『昨日のうちにかけておいた』

日吉「そりゃよかったな」



いまだに日吉とノリコ以外の生徒はポカンとしていた。

ノリコ「おー!なかなかワイルドな登校の仕方じゃないビチコ!」

『のりピー↑、おはー』

ノリコ「ピー↑じゃない!ピー↓だから!」


なにが違うのか、と思うかもしれないが、これはアクセントの問題なのだ。


簡単に説明すると、前者は放送禁止用語が使われたときのピーだ。

後者は、




・・・あの人と同じだ。うん。わかって。




茂「いいからビチコ!席についてくれ!」

『あれ・・・茂センセ、カツラ変わった?』

茂「そうだよ!なかなか取れねえやつにしたんだよ!」

『・・・・・ほお』


美代は小さくうねり、自分の席に着いた。










その日のうちに茂のカツラが屋上から吊されていた事は、言うまでもないのかもしれない。

茂「あんのクソチビがああああああああああ!!」←腐っても教師です。
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