駄文。

□君がいてくれるということ
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シトユリ兄妹。時系列はアニメ5話。





「もうユリーカってば、なんてこと言うんだ…」


恥かいたじゃないか、相手の方にご迷惑だろう?とぼくは自分と同じ金髪を持つ幼い少女を困ったように見つめた。
ぼくの視線から目を逸らすユリーカ。
いきなりぼくのキープ、だなんて…一体何を考えてるのか。
そんなことを言われて、ジムリーダーの彼女も困っただろう。
まぁ、よくわかってない様子だったから大丈夫だろうけど。


「だってあのお姉さん、すごく優しくてしっかりしてそうだったんだもん」


キレーだし、お兄ちゃんにピッタリだと思って!と目をキラキラ輝かせてくる。
そんな事言われても…。
ていうか、どんだけ頼りないと思われてるんだろう。
これでもしっかりお兄ちゃん、やってるつもりなんだけど…。
ふう。とため息をつくとすっとしゃがむこみ、目の前の少女に視線を合わせると、小さな肩に手を置いて語りかける。


「よく考えてごらんユリーカ。お嫁さんを貰うってことは、どういうことなのか」

「えっとね、ケッコンするってこと!」

「うん。つまりぼくにとって一番大切な人になるってこと」

「一番…?」


そう。結婚するということは、その相手と一緒に一つ屋根の下で暮らすということ。
そうなったら、もちろん今みたいな生活なんて出来っこない。
お嫁さんを養わないといけないから、お金だって稼がなきゃならない。
もう当分、ユリーカの事を構ってあげられなくなるだろう。
そもそも、一緒に住むことさえも叶わなくなるかもしれない。


「もうユリーカと遊んだり、一緒に暮らしたり出来なくなるかもしれないんだよ」


それでもいいの?と、目をぱちくりさせてぽかんとしている妹に問い掛ける。
まぁその時に妹がもう大人になって兄離れしているとか、逆にぼくより先に結婚しているかもとか色々な予測は出来るが、とりあえずそれは置いといて。

少女は、暫く首を傾げてうーんと唸っていたが、何かを決意したようにのちのち顔を上げて、こう言った。


「じゃあユリーカ、ケッコンしない!」

「…へッ!?」

「そしたらお兄ちゃんと、ずーっと一緒に暮らせるでしょ?」

「わ、わからないよ。相手の人がユリーカと一緒に暮らしたくないって言うかもしれないし…」

「お兄ちゃんはそんないじわるな人、選ばないもん」


だから、あたしがお兄ちゃんのおよめさんを探すの!お兄ちゃんとユリーカのことを想ってくれる、優しいおよめさんを!

何かを決意したようにそう意気込む目の前の少女。
しまった…。ますますやる気にさせてしまったみたいだ。こんなつもりじゃなかったのに。
うぅ…頭が痛い。
実の妹の結婚しない宣言も、はたして兄として喜んでいいものなのか…複雑な気分だ。


「はぁ…。ユリーカは、どうしてそんなにぼくに結婚して欲しいんだい?」


ぼくは思っていた疑問を妹に投げかける。
ただ単に遊び相手が欲しいから?それとも、新しい家族が欲しいのか…?
やっぱり今まで、寂しい思いをさせていたのかな。

そんな考えを巡らせていると、ぼくの予想とは裏腹に意外な答えが返ってきた。


「―――」


照れ臭そうにそう呟く少女が、とても愛おしく思えた。
そんなにぼくのことを…考えてくれてたなんて。

ぼくはたまらず、その小さな体に手を回すと、ぎゅっと抱きしめる。
お、おにいちゃん、どうしたの?とあたふたする感覚を腕の中で感じたが、そんなことは気にせず、更に力を込めた。
そのまま首筋にちゅっと唇を落とすと、くすぐったそうに微笑むぼくの妹。


それは、それは違うよ、ユリーカ。
きみはすごくとんでもない勘違いをしている。
お嫁さんなんて必要ないんだ。
例えそれで幸せを掴んだとしても、それはぼくの本当の幸せじゃない。


ぼくは、ユリーカが傍にいてくれたら、それだけで幸せなのに―


きみじゃなきゃ、だめなんだ。
そう伝えられたらどんなにいい事だろう。
だがそれを伝える勇気は、今のぼくにはない。
ぼくたちは血のつながった兄妹。それ以上でもそれ以下でもないのだから。

強く願ったその想いは言葉にならず、ぼくの胸の内で儚く消えてしまった。














おにいちゃんにはしあわせになってほしいの。

お兄ちゃんのしあわせはあたしのしあわせだから。
















ユリーカちゃんがお兄ちゃんのお嫁さん探しをする理由は、頼りないお兄ちゃんを支えて欲しいとかそんな理由だとは思うんですけど、一番の理由は大好きなお兄ちゃんに幸せになって欲しいから、とかそんな願いが込められてたらいいよねって話。シトユリちゃんはほのぼのでも危ない感じでもどっちでもおいしいです、むふふ←誰か通報して〜
それにしてもユリーカちゃん、アニメで一人称ユリーカなのかあたしなのか、一体どっちなんだ。

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