AmouR.

□#07.いつかの夏
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夏休み


空の青をくりぬいたように浮かぶ雲が

この休みをどう過ごすか

方程式以上に頭をフル回転させる貧乏学生たちの健闘を祈っている





千「あーそーぼっ!」

「…千鶴」

千「ねーねー美雨ちゃん聞いてよ!ゆっきーも要っちもつれねーの!」

「(祐希はゲーム、要は勉強だろうな…)」

千「んで、やっとこさ要っちから住所聞き出して美雨ちゃんの家に来たってわけ!」

「それは嬉しいな。でもごめんね。これからやらなきゃいけないことがあって」

千「 ガーン!俺振られまくり……?」

「あはは、春ちゃんに救いを求めればいいんじゃないかな」

千「お!そうだった!癒しの春ちゃんがまだ残ってた!」


キラキラと照りつける太陽に負けないくらいの笑顔で。
その上金髪もまぶしい。


そうと決まれば速攻!
と変な台詞を言いながら私の家を後にした。


「夏休みって一番輝いてそうな人だもんなぁ」


勉強ろくにしないし

おちゃらけてるし。

でもこんなキャラがいるから

毎日の学校がうんと楽しくなっちゃうんだよね。


「美雨ちゃん?準備手伝ってー」

「はーいお母さん」


今日は夕方から夏祭りが開かれる。
私の家は昔から屋台を出していて、
今年は焼き鳥みたいだ。


「美雨ちゃんにも焼き鳥焼いてもらうからねー?」

「おっけー」

「でも悠太くんたちと夏祭り、行く予定だったりした?」

「その予定はないんだけど…?」

「まあ、美雨もお年頃だもんね。いつまでも男の子と一緒にいられないわよね」

「それなんだよねー…。
 悠太も祐希も顔はいいからわたしが女子たちにいじめられそうで…」

「そうねー、要くんも春くんもそうなんじゃない?」

「あの二人はごく稀。まだいても大丈夫かも…、」

「まあ、お母さんは美雨があの中の誰かと恋人同士になることを願ってるわね」

「えっ」



だから、それは考えられないんだってば!

昔から一緒にいたせいか…

そういう感情には無縁だったというか。

一緒が当たり前で、

ごくごく当然のことだと思ってたし…。



「…無関心だっただけなのかも、ね」


これからは感情豊かにしないと。


…でも何をすれば?


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