AmouR.

□#05.星の数だけ願いを
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雲一つ無い満天の星を飾る星。
今日は夜空にかかる天の川をはさんだ織姫と彦星が年に一度だけ会うことができる日。
そんなおめでたい日に私たちは公園に集まっていた。


「浅羽祐希。愛読誌はアニメージャ」

『夏目美雨。実はハーフです!』

「橘千鶴でっす!チャームポインツは泣きぼくろでっす!」

「松岡春です。えっと…茶道部に入ってます」

「浅羽悠太です。双子の弟がいます」

「佐藤茉咲。高校1年…」

「…」

千「こらー!要っち波を止めるなー!合コンの基本は自己紹介だぞ!?」


要は渋々来たみたい。
私も心配されちゃったけど…


千「シャイボーイはほっといて!はいはーい!好きな男性のタイプがききたいでーす!」

祐「そうね…私に世の中お金より大切なものがあるって証明してくれる人かしら?」

千「するっス!自分証明するっス!」

『祐希すごぉい…』


大人ーな女性って感じのキャラ。


悠「春さんは?」


悠太が春ちゃんの手を握りながらきく。


春「えっ、えっと優しい人ですかね」

茉「春ちゃんは優しい人だとすっ好きになるの!?」

千「美雨ちゃんは!?」

『あたしはー…大人っぽくて笑顔が素敵な人、かなー』

千「美雨ちゃん可愛ぃー!」

悠「…オレはその理想に当てはまりますか?」

『ゆ、悠太…!?』


春ちゃんの手から私の手に悠太の手が移る。
温かな手が外で冷め切った私の手を温めた。


悠「手、冷たいね」

『うん、外にいるから冷えちゃって』

悠「オレが温めてあげる」


ぎゅっと力がこもり、お互いの手を擦り合わせて温めようとしてくれている。
そんな悠太に少しドキッとする。


『ありがと、』

要「(なんでこいつらはノリノリなんだ…)」


熱くなった頬を撫でる風が気持ちいい。
ふと悠太の隣にいる要に目を向けた。
つまらなそう…











千「よーし!お次は王様ゲーム!」

要「オレやんねぇから」

祐「あらボウヤは王様より女王様ゲームの方がお好き?」


そんな祐希に要は紙コップを投げつけた。
スコーンといい音を立てて。


春「でも千鶴君、なんでいきなり合コンなんですか?」

千「今日七夕だから」

『七夕って…織姫と彦星が一年に一回しか会えないっていう…』

春「そうですよ」

千「だって七夕に結ばれた男女がその年の織姫と彦星の称号を得るんでしょ?」

春「そんな七夕初耳ですね」


うーん、外国暮らしだったハーフ君には間違った情報がいってしまったんだね!
私もハーフだけどバリバリ日本のこと分かってるつもりだけどね!←ドヤ


千「短冊セット〜!買って来たぜ!皆、書きましょ書きましょ」

祐「書いても吊るす笹が無いじゃん」

千「もー、小さいことまでツッコまないの!ゆうたんてば!」

悠「小さくないよ…致命的だよ…」


短冊か…そういえばこの歳になって書くことなかったなぁ。


祐「美雨、なんて書いた?」

『んー?秘密』

祐「えー教えてよ」

『やだよっそういう祐希は何書いたの!』

祐「えー…内緒」

『祐希もケチじゃんーっ』

悠「こらこら喧嘩しないの」


これから先も皆と仲良くいられますように。
大人になっても、変わらずこうやって集まって、バカして遊べたらそれで私は幸せだから。

テーブルに伏せって短冊を隠すように顔を埋める。
こんなの、見せるのは恥ずかしい。
不意に椅子が動く音に反応した。


要「取りに行くんだよ。明日なんだろ?」

春「あ、はい…っありがとうございます」

『え、どうしたの?』

悠「春の英語のノート取りに行くみたいだよ」

『え、そうなの』

要「つーことだからお前らあとは勝手に…」

祐「あ、もうちょい待って。今かたづけてるから」

千「夜の学校かーたのしみだなー!」

『……』


夜の学校に行くんですか…っ!
君たち勇気あるね!


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