AmouR.

□#01.ボクらの17回目の春に
1ページ/4ページ



春もうらら 桜は満開


桜吹雪が舞い上がるというより砂ぼこりの舞う春は

育ち盛りの少年たちにとって少しの腹の足しにもならない。



「あー風強ぇー。誰だよ屋上で弁当食おうなんていいだしたのは」



眼鏡がトレードマークで、学級委員や生徒会を頑張ってる塚原要。

常に怒ってます。

まぁ、それはこちらに原因があるのですが…。



「えー、だって天気いいのに教室じゃもったいないじゃないですか。ね、美雨ちゃん」



髪の毛が女の子のように長くて、お花を飛ばしてる可愛い男の子は松岡春。

名前の通り春のようなふんわりした男子生徒。

私はいつも春ちゃんから癒しをもらってます。



『そうだよね、要ってそう言うトコめんど臭いかも…?』



首を傾げた彼女は、卵焼きを箸で摘んでそう呟いた。

彼女は彼らの幼馴染、夏目美雨。

春と同じくらい花を飛ばします。


バニラ色の髪を靡かせ優雅に箸をすすめる。



「誰のが面倒くさいと思ってんだよ!それにおかず砂まみれになる方がもったいねーだろ!」

「あ、じゃあ僕のサンドイッチから好きなのとってください」

「要なんかに必要ないよ春。ちゃんと自分で食べなさい」

「要ボンボンでしょ。おかずの一つ二つで何騒いでんの」



要に突っかかる双子の兄弟。

兄の浅羽悠太、弟の祐希。

無表情だけどイケメンで、学校中の女子から人気。

でも性格は全然違う。



「いちいち突っかかってくんな双子。俺はお前らの巻きぞえ食らうっつーのが腹立つんだよ」



弁当にがっつく要を見て思う。

そして皆も同じことを思ったと思う。


だったら誘った時断ればいいのに……


…でも、何だかんだ言って優しいからね、要は。


皆との時間を大切にしてくれてるんだよね、きっと。


私はそんな事を考えながら静かに微笑んだ。



そうして私たちは穂稀高校の二年生になった。










弁当を食べ終えると皆それぞれのことをしだした。

すると、春ちゃんが突然話題をふった。



「あ!そういえば祐希君と要くんは同じクラスになるの初めてでしたよね?どうですか?」



4組である祐希と要。

美雨と悠太と春ちゃんは5組である。

春ちゃんの話題に、祐希は無反応。

相変わらずアニメージャを読んでいる。


要はチラリと春ちゃんに目を向けると、読んでいた本を閉じた。



「あぁ?あー、どーしたもこーしたもねぇな。最悪だよ」

「え?最悪…とは」



春ちゃんが思いもよらぬ返答に戸惑っている中、悠太は私の髪をいじっていた。

髪を櫛でとかしたりして。

一通り終わると悠太は首に腕を回して髪の匂いをかいでいた。



『?』

「いー匂いするね。シャンプー」

『でしょ?私も好きなんだ、この匂い』



甘くて仄かで癒される香り。

2人が甘い会話をしている隣で要と祐希と春ちゃんはクラスでの祐希の話をしていて。



「こいつ、クラスの誰に話しかけられても基本が無視なんだよ」

「えっ、そうなんですか?」

「…別に故意に無視しようなんて思ってないよ」



オレンジジュースの紙パックを持ちながら祐希は言う。



「ただ誰の言葉も俺の中にまで響かないだけで…」

『想像つくなぁ…。祐希が寝てるの…』

「えーそれ酷くない?」

「オメーがひでーんだよっ!」



祐希は私の膝にぐったり倒れてきた。

くずした座り方をしていたので良かった。

そんな祐希の頭をぱしん、と叩く要。



「悠太くん…」

「いんじゃない?そういうのも祐希だと思うし。一匹狼っていっても誰かを傷つけるわけじゃないし」

「無視されたら十分傷つきますよ」



ご尤もな春ちゃん。

その考えに否定はしないけど、やっぱり祐希は一匹狼っていうイメージがある。


何者にも縛られないというか…(悠太にはベタベタだけど)

周りを顧みないというか…(周りに無関心なだけ)


でもやっぱり、協調性を少しくらいは持って欲しいものだよね。



「…そうだ、祐希。お前今スグ部活に入れ」

「は?」


突然言い出した要の発言に、祐希が嫌とでもいうような表情をした。


それでも、要は強制的に連れ出した。





ということで、皆はレッツ祐希の部活探し!















(勝手に決めないでよ要)(まーまー、今回だけでも要の言うこと聞いてあげようよ)(あぁ?!)
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ