キセキと白猫
□秘めた心
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深織と俺は違うクラスだ。
彼女と同じクラスなのは紫原、黄瀬だったような気がする。
あいつらはクラスでも一緒にいられるのか…。
そんなことをふと思った、昼下がりの授業中
「深織っち、一緒に部活行かないっスか?」
『…ヤダ』
「Σ何でっ!?」
授業が終わり、深織を迎えに行くため教室へ向かう。
教室の中では深織と黄瀬が話しているようだった。
『…征くんと一緒に行くから』
コイツは何て嬉しい言葉を恥ずかしげも無く言えるんだろう。
少し心臓が不規則に動いた。
「はは、ホントに深織っちは赤司っちに執着してるっスねー」
『…それ、むっくんにも言われたことある…』
相変わらず感情の読めない表情で黄瀬を見つめている瞳。
その中に少し戸惑いの色が窺えた。
なんだかそんな深織に微笑ましさを感じていた。
向こうで黄瀬と話していた深織がふとこちらに目を向けた。
『征くん…!』
「やあ、深織」
軽く手を挙げれば、駆け寄ってくる小さな深織。
『征くん、涼太くんがいじめる…』
「ほう…?黄瀬が女を泣かせようなんて…しかも深織を?…どうやらお仕置きされたいみたいだな…?(黒)」
「そんな!滅相も無いっス!!!;」
てゆうか、いじめてなんか無いっスよ!
そう必死に言う黄瀬が面白い。
分かっているよ、黄瀬。
でも、分かっていないフリをしているんだよ。
『(征くん腹黒)』
「さあ深織、こんな黄色い駄犬放っておいて部活へ行こうか」
『うん』
「ちょっ、それは無いっスよ、赤司っちー!」
涙目の駄犬が歩き出した俺達の隣に並ぶ。
「深織っち、黒子っち並につれないっスよ〜!」
『…ごめんね』
「いや、謝らないで!!…って、赤司っち怖いっスよ!!」
周りからの黄色い歓声はきっと黄瀬のファンの女達。
五月蝿いが毎度のことなので仕方が無い…。
なんて思うか
腹黒い思考を腹の中に収めて歩いていく。
向こうでそんな女達に手を振っている黄瀬がまた神経を逆撫でる。
深織はといえば無心にポッチーを食べている。
そんな姿に少しは心が和む。
やはり、黄瀬を置いていくべきだったと、
今再び改めて思った。
*