キセキと白猫

□気まぐれな狼くん
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青峰がまだ部活に来ていないんだよ。


そう征くんから告げられ、私は自ら彼を捜索すると申し出た。

皆は練習があるし、さつきちゃんはマネージャーの仕事を頑張っている。

いつもはさつきちゃんが青峰を捜す役目。

でも今日くらいはさつきちゃんが動き回らないでいいように、代わりに捜しに行くね。

なるべく早く来てね、という征くんの言葉を聞いて体育館を出た。












『きっと屋上で授業さぼったまま寝てるんだろうな……』


ぽつりと呟いて香りのいい葡萄のガムを口に含んだ。



案の定、青峰は屋上でいびきをかきながら爆睡中だった。


『(…外なのにうるさい…)』


屋上の扉を開けた瞬間、冷たい風が頬をくすぐって身震いした。

こんなに寒いなら早く体育館に行ってあの熱気に包まれよう…。そう判断した。

扉の横に備え付けられた鉄の梯子を登って、青峰の隣にちょこんと座った。

仰向けで大口を開けている彼をじとっとした目で見つめてから体を揺すった。


『…青峰ー』

「ッガー…」


こんな幼稚な起こし方では起きないことは百も承知だったが一応。

だが、反応は変わらなかった。

一度、ふぅ、と息を吐いて、青峰の耳元に唇を寄せた。


『……青峰、…起きてよ、』

「っ…?!」


びくりと体を跳ねさせた青峰。

その目は大きく驚いたように見開いていて。


『…?どうしたの?』

「あー…いや……誰が色気ムンムンの声出してんのか知りたくて、お前だったから驚いて、つい」

『……私だって人間だもん。ロボットじゃないもん。……失礼な…』

「いや、俺そこまで言ってねーし。自分で言っといて何むくれてんだよ」

『…さっさと部活行こう。征くんが待ってるよ』

「いや、あいつに待ってられてもなァ…」

『…じゃあ、…さつきちゃん?』

「別にどーでもいーんだけど」

『……酷いな…この男は…』

「お前今日いつになく俺に冷たくねーか?」

『それよりも…早く部活、行こ』


ぐいぐいと裾を引っ張って催促する。


「…つーか深織…いー匂いしねぇ?」

『ガムかな?』

「俺にもくれよ」

『…部活が終わってからね』

「そんなんじゃ意味ねーよ。今欲しーンだよ、今!」

『……全力で断る』

モグモグと口を動かしながら目線を反らす。

そんな彼女にイラッとしつつも、赤司に説教を食らうのは御免なので、我慢しておく。


『…だから早く。部活』

「はいはい」


再び握られたカーディガン。

その小さな力に青峰は渋々重い腰をあげた。































「…少し遅かったね、深織」

『ごめんなさい…青峰が歩くの遅いから…』

「俺のせいかよ!?」

「…青峰」

「ハイ、スミマセンデシタ」


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