キセキと白猫
□犬と猫
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「あっ、深織っち!」
『涼太くん…おはよ』
「おはよっス!今日も可愛いっスね、深織っちは」
『……ありがと?』
「なんでそんなに反応薄いんスか!?しかも何で疑問系!?もっと喜んでくれたっていいのに!!」
『…涼太くんが言うと嘘っぽい…から?』
「ひどいっスよ!!深織っちのバカーッ…」
わんわん泣きマネをする傍ら無表情に彼を見つめる深織。
仲が良いのか悪いのか、この会話ではかなり分かり難いものである。
泣く姿が憐れになったのか、それとも申し訳ないという気持ちになったのかは定かではないが、
深織はポケットから飴玉を取り出すと黄瀬のカーディガンをくいくいと引っ張った。
「…ん?何スか?」
『飴。…これで許してくれる?』
きゅるん、とした大きな瞳に、長いカーディガンの裾で覆われた手を口元にやって首を傾げた。
その姿に黄瀬は顔を赤くして、
「っべ、別に悲しくて泣いてたわけでもないし、怒ってたわけでも無いんスよ?!
…でも、ありがとっス♪」
顔が赤いまま、くしゃっと深織の頭を撫でて笑顔になる。
彼の手には苺の飴。
それを見て嬉しそうに微笑むイケメンモデル。
そんな嬉しそうな彼の表情を見てホッと胸を撫で下ろした。
「…深織っち」
『?』
「やっぱ大好きっス!」
『っわ、』
ぎゅうっと突然抱きついてくる黄色いわんこに驚きで目を開く。
でも抱きつかれるのは嫌いじゃないので小さい腕を伸ばして抱き締め返した。
するとさっきよりも力が強くなったと思うのは気のせいにしようと思った白猫さんだった。
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