短編:

□目をそらすな
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「目をそらしたら罰ゲームな」

『…なにそれ』

「俺たちはめでたく恋人になったワケだ。
 たまにはラブラブしよーぜ名前」

『……慶が負けたら一日中私のいうこと聞く』

「ふーん。じゃ、俺が勝ったら……、」

『なに?』

「や、俺が勝てたらそのとき教える」

『……わかった』





『近い』

「こっちのが面白くなりそうだろ」

『それは慶だけだよね』


余裕そうな顔を崩してやりたい。


二人きりの隊室。


柚宇ちゃんはゲーム、
出水は米屋くんと模擬戦中だろう。


慶の服を掴みながら、前へ前へ。
とんっと壁に追い詰めると、
慶がにやりと口角を上げた。


『……!?』


口を開いたかと思えば、
私の閉じた唇の表面を舌でなぞった。

ぶるりと背筋が凍った。

それからも、しつこく舐められる。

目が合いながらの行為に、羞恥を与えさせる。
目を閉じたくなる。
だけど、閉じたら負けだ。


負けたくない。
何かしなきゃ。


「ん、っちょ名前!」


首に腕を回して、ぐっと距離を縮める。
もちろん目を合わせながら、私もゆっくり口を開く。

ぱくりと慶の舌を捉えて、深く深く口付ける。


『は……っン……』

「ふぅ…、えっろ…、」


慶の手も私の腰をつかみ、片方の手も頭の後ろに回る。
洋画の何気なく始めるキスシーンみたいだ。


「これから防衛任務だろ…」

『そ、だね?』

「俺、今すぐ名前としたいんだけど」

『このゲームしようって言ったの慶なんだけど』

「…名前、負けろ」

『イヤ』


太刀川の唇に噛みつく。


「!!?」


どんっ!


『わわっ』


立ち位置逆転。
私が壁ドンされる側になってしまった。


「色気ねぇ声…」

『私に色気を求めるな』

「彼女には求めるだろ、フツー」


結局、出水が米屋との模擬戦から帰り、
そして柚宇ちゃんが帰ってくるまで
目をそらさないゲームは続いた。



「隊室で何やってんですか!!!!」



顔を真っ赤にした出水が声を荒げるまで。


「キャー!太刀川さん、名前さんにちゅーして下さいよぅ!」

「柚宇さん!!?」


慶は柚宇ちゃんの言葉に従ったのか、
触れるだけのキスをしてきた。


「キャッ!」

「っ!」


出水の反応が可愛すぎて
今すぐにでも見たい。


「目ぇそらせよ。名前」

『ムリ』



「あー出水、さっき言い忘れてたんだけどさ……」

「あ!米屋待っ…」

『!』


あ、
そらしてしまった。


「名前〜?」ニヤニヤ

『〜〜〜〜!』


「え?何?太刀川さんと名前さん、イチャイチャ中?」


*






『で、罰ゲームは何?』

「密着するのは範囲内だった」

『うん?』

「そこで俺の理性が保つわけがない。」

『……』

「防衛任務の前にやろうぜ……?」

『………』

「やっぱ、嫌?」

『……大丈夫、だと思う』


「ほんとに?」

『…や、』

「や?」

『やさしく、して?』

「………」


※このあと、めちゃくちゃ××した。


**

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