迷宮の恋物語

□05.
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迷宮の恋物語【05】







〜棗said〜



『なつにー』



携帯にメールが1通あった。


それは我が愛しい妹である空璃からだった…。



――良い報告をしに、なつ兄に直接会いに行くね(´ω`*)――



それから数分後、声を大にして叫んでいるものだから慌てて扉を開けた。



『おはよっ!』


ポスッ


勢いよく抱きついた空璃に驚いて目を開いた。


なんだ。なんだっていうんだ。



「どうした?椿か誰かに嫌な事されたのか?」


『ううん、そうじゃない』


「それじゃあ…」


『もうすぐ、新しい家族ができるんだって!!』



瞳をキラキラさせて最高の笑顔で言うものだからこっちまで笑みがこぼれた。


そうか、家族が増えるのか…って。



「母さん、もしかして再婚すんのか?」


『うん!冒険家の人だって言ってた。すごく優しい人なんだよ』


「会ったのか?」


『うん。一回私たちを見に来たときにね』



その人は一人娘がいるのだという。


ということは、来るのは女の子か。


空璃と同じ女の子。


同じ女が来ることがとても嬉しいから、今日はこんなにはしゃいでいるのか…。



…可愛いな。



『どしたの、棗兄』


「いや…。女の子が来てくれるからそんなにはしゃいでるのかと思ってな」


『うん、お姉ちゃんらしいからすっごく嬉しくて』


「そういえば、空璃は昔から姉が欲しかったとか言ってたもんな」


『あはは、覚えてたんだ』


「そりゃ、あんなに喚いてたらいやでも覚えるもんだろ」


『…;』



バツの悪そうな顔になって顔を背ける空璃に苦笑いして、頭を撫でてやった。


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