迷宮の恋物語
□02.
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温かな布団に包まれて心地の良い朝の時間を迎える―――
ハズだったのに、
「空璃おっはよー★今日もかーいいよ〜!」
ぎゅ〜っと何故かきつく抱き締めている椿兄。
いつからいたのか、どこから入ってきたのか検討つかない。
迷宮の恋物語【02】「ごめん、空璃。起こそうとしたら椿も着いてきちゃって」
『梓兄…』
「んもー寝起きの空璃もかーいい★このまま襲っちゃっていい?」
『「ダメ」』
「うわ、ハモられちゃった…」
苦笑いを浮かべながら体を離した椿兄。
ほっ、と一息ついて、体を起こす。
梓兄が開けたカーテンの窓を不意に見つめると眩しい光に目が眩んだ。
ぼーっとしていると、唇の際どい場所に口付けられた感触。
寝起きとは思えないくらいの動きの早さに自分で驚いた。
自分の目に映したのは梓兄で。
「改めておはよう、空璃。京兄が朝ごはん作ってくれてるから、早く着替えてね」
耳元でそう囁く梓兄。
その甘く紡がれる声に顔の熱が耳に集中して、心臓がバクバク煩く音を立てている。
『う、うん…』
椿兄の肩を抱き、部屋を出て行った梓兄。
椿兄のぶーぶー言う声が聞こえるが、梓兄は気にしていない風に、足早に去っていった。
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