迷宮の恋物語

□02.
1ページ/2ページ



温かな布団に包まれて心地の良い朝の時間を迎える―――


ハズだったのに、



「空璃おっはよー★今日もかーいいよ〜!」



ぎゅ〜っと何故かきつく抱き締めている椿兄。


いつからいたのか、どこから入ってきたのか検討つかない。







迷宮の恋物語【02】







「ごめん、空璃。起こそうとしたら椿も着いてきちゃって」


『梓兄…』


「んもー寝起きの空璃もかーいい★このまま襲っちゃっていい?」


『「ダメ」』


「うわ、ハモられちゃった…」



苦笑いを浮かべながら体を離した椿兄。


ほっ、と一息ついて、体を起こす。


梓兄が開けたカーテンの窓を不意に見つめると眩しい光に目が眩んだ。



ぼーっとしていると、唇の際どい場所に口付けられた感触。


寝起きとは思えないくらいの動きの早さに自分で驚いた。


自分の目に映したのは梓兄で。



「改めておはよう、空璃。京兄が朝ごはん作ってくれてるから、早く着替えてね」



耳元でそう囁く梓兄。


その甘く紡がれる声に顔の熱が耳に集中して、心臓がバクバク煩く音を立てている。



『う、うん…』



椿兄の肩を抱き、部屋を出て行った梓兄。


椿兄のぶーぶー言う声が聞こえるが、梓兄は気にしていない風に、足早に去っていった。



次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ