秋の本棚

□愛してほしいだけ
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「ねぇ、そこの人ー。オイラといかない?楽しいところー。うん。」

いつからかはこうやって人をホテルに誘い込んだ。
男、女、関係なく。

誰もがついてくる。首を縦にふる。
バカじゃねえの。

俺よりマシだけど、うん。



毎日、毎日絶えずオイラには赤い痣が残ってる。

だけど、いくら誘い込んでも、心は満たされない。冷めていく。

旦那。オイラここまでしたよ?
なんで何も言わないんだよ、うん。
本当にオイラを愛してる?
旦那、今誰を思ってる?
一体、誰を。

オイラは今どうしたらいいんだよ。






「旦那、どうしたの。」

ヘラヘラ笑って、旦那を見上げる。
旦那が押し倒すなんてめずらしいねぇ。

「お前、また浮気したんだろ」

「なんのことー?うん?」

「可愛げさえも無くなったな、前は押し倒すだけで顔が真っ赤になったって
のによ…押し倒され慣れたか?」

旦那のせいじゃん。

冷たい、呆れさえも含まれた声。
本気でおこってる、そう分かる顔。

だけど、今ならヘラヘラ笑える。
嬉しいんだよ。オイラに怒ってるんだろ?今旦那はオイラを見てる。

「ずいぶんと、昨日は可愛がってもらったんだな」

首には赤くくっきりと、痣がある。

「旦っ…」

ダメだ、何も言えない。
オイラはこの時点で負け。
手も足もでない。

激しいんだよ、うん…

でも、旦那は今オイラを見てる。




***






すごく、ムカついた。

デイダラに触った奴等に。

だけど俺は知ってる

デイダラ、怖いんだろ?
俺が今誰を見てるか。
俺が今誰を愛してるか。
それがもしお前じゃなかったら、と思うと怖くて仕方ないんだろ?

だからって、そんなやり方あんのかよ。
俺の身にもなれよ、クソ髷。

俺はお前を見てるのに
俺が他の奴等と愛し合ってどうすんだよ。
嘘でも、だ。
ムカついて仕方ねえ。


これ以上何も言わせねえ
お前は黙って愛されとけ。

「旦っ…」

うるせえって。
いつもより激しくしてやろうか。

望み通りに愛してやるよ。

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