過去拍手作品

□神々の悪戯 正月篇
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「もうすぐ年が明けます」



唐突に月人さんが言い出した。


規律や伝統を重んじる性格の彼には重要なことらしく、少しばかり楽しそうに見えた。



「年が明けると何かあるのかい?」


「新年を迎えると人間は神社や寺に参拝にいくと聞きました。それを初詣と言うらしいのですが、そこで神に祈るらしいです」



月人さんがバルドルさんの質問にそう答える。


凄いと感心した。彼は教えたことをすぐに知識として吸収するので、すごいとしか言い様がない。



「僕たちの世界にはお寺や神社なんて無いよ?どうしたらいいの、ツキツキ?」


「日本ではそういう風習があるらしいですが、他国でのことは俺には分かりません」



…まぁ、そうでしょう。
他国では大人は酒を飲んだり、パーティーみたいなことをするとテレビで見たことがあります。



それよりも日本が好きなバルドルさんが、この初詣などに興味を示さない訳はないと思い、バルドルさんを見ると━━



「ワオ!さすがはニホンだね!趣がある。私も日本に産まれたかったな」



と、一人でテンションが上がっていた。



「新年迎えるのでしたら、年越し蕎麦や雑煮などを皆さんで作りませんか?」



月人さんの言葉に思い出したように私が言うと、皆さんがこちらを向いた。



「…蕎麦はわかるが、ゾウニ?とは何だ?」



トールさんからの質問に、ハッとした。トールさんは料理が得意なのだから興味を示さないはずがない。


「雑煮は餅を使うお料理で、主にお正月などに食べられるものです。味噌や醤油をベースとしたスープに餅を入れるんです」



好みで白菜などをいれても良いだろうと言えばなるほど、と納得して下さった。



それからハデスさんたちもきて、皆で餅を作ろうと、杵と臼を持ってきた。それから皆で楽しみながら餅をつけば、自然と皆の顔に笑みが見える。



雑煮に使うだけなのに、と思いながらも楽しそうに大量の餅をつく彼らに、それも良いかと思った大晦日だった。



....fin

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