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□不器用な愛たち
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世界は、随分と平和になった。


世界を脅かしていた人造人間はいなくなり、セルも倒したお陰で今は怯えることなく外出することも出来るようになった。


ひび割れた道路も綺麗に直り、崩れた町並みは徐々にではあるが元の形を取り戻そうとしている。


カプセル・コーポレーションも今はその発展途中で、母であるブルマと共にトランクスも仕事に追われていた。


また一からのスタートとなったカプセル・コーポレーションを建て直すのは生半可なものではなくとても大変で難しくて…でも、とてもやりがいがあるものだった。


疲れても決して嫌な疲労感ではない。

むしろこの疲労感が嬉しくて、疲れて眠りにつくなんていったい何年ぶりなのだろう…






「トランクス。」



久し振りの休日にリビングでソファに寝転がっていると、ブルマが声をかけてきた。


顔を覆うようにして被せていた雑誌を取り上げられた途端に視界いっぱいにブルマの顔が飛び込んでくる。


トランクスは眩しそうに目を細めながら欠伸を噛み殺し、ボーッと母の顔を眺めていた。



「なんですか…?」


「まだ昼前だってのに…なーに寝てんのよ。」


「…眠いからですよ。」


「せっかくの休みなのよ?」


「せっかくの休みだからこそ寝ているんですよ。」



息子の反応が気に食わなかったのか、むっ…と眉を寄せ目を少しだけつり上げるブルマ。


取り上げた雑誌を近くにあるテーブルに置き、腰に手を当てて更にトランクスの顔を覗き込んだ。



「そんなのもっと歳を取ったらいくらでも出来るでしょ?若いんだからもっと外に出なさいったら。」



母の言い分は最もである。だが、それでも今日はどこかに出かける気分にはなれない。


しかしここで母を言い負かせる自信もないし、説得するにしても相当な体力と時間が必要になるだろう。


そんな事をするぐらいなら、母の機嫌を損ねる前にどこかに出かけた方がまだ幾分かましなはずだ。


トランクスはまた欠伸を噛み殺し、そして勢いをつけて上体を起こした。



「母さんの言う通り、確かにこんな良い天気な日に寝ているのは勿体ないかな。」


「でしょう?」



嬉しそうにブルマはそう言うと、トランクスの隣に腰かけた。



「で?どこに行くの?」


「え、」


「実は私も暇なの。家にいてもつまらないのよねぇ。たまには二人でどこかに出掛けましょうよ。」



にこにこと笑みを溢すブルマ。

それを見てトランクスはようやく母も時間を持て余しているのだと合点がいった。



「どこっていっても…」



トランクスは天を仰ぎながら頭をかいた。

そして数秒、考えるように唸ってみせた。



「ーーーあ、」


「どこか思い付いたの?」



身を乗り出してくる母にも動じず、トランクスは少しだけ口元をほころばせた。



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