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□貴方の初めて(前編)
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ただなんとなく、無性に悟飯に触れたくなる時がたまにある。


それは幼い頃からあって、しかし求めれば悟飯は喜んでそれを与えてくれた。


頭を撫でてくれて…両手で、頬を包んで額を重ねてくれる。


抱きしめれば更に強い力で抱きしめ返してくれて、それがトランクスにはとてつもない幸福だった。


しかしそれは年を重ねていけばいくほど求める事に躊躇し、触れたくなる思いは膨らんでいく。


手を繋いで歩きたい。

また抱き締めて…更に強い力で抱き締め返されたい。

しかし14歳になる自分が、しかも男同士でそんな事をするのはどう考えてもおかしいだろう。


そしてとてもでは無いが…恥ずかしくて口にする事が出来ない。


どうして…悟飯にだけこんな感情生まれるのだろう。

気が付くと悟飯が視界に入るたびに目で追っていて、用も無いのに会いたくて会いたくてしょうがなかった。


そんな無意味な衝動は毎日と続いて、まるで地層の様に幾重にも重なって大きくなっていく。


この感情がなんなのか、何を意味しているのか…本当は、心当たりがあった。

しかし心当たりがあるからと言ってその感情を直ぐに受け入れる勇気が、今のトランクスには持ち合わせていなかった。


悟飯は男で、歳も随分と離れていて…

誰よりも尊敬している師匠だ。


そんな彼に抱いているこの感情を認めて曝け出すなんて…恐ろしくて、出来ない。

だってこの感情は、普通だったら抱いてはいけないものだから。


いけないのに…なのにどうして、こんなにも溢れ出てきてしまうのだろう。


溢れ出して、歯止めを失ってしまうのだろう…?


トランクスはここ数年、ずっと悩み続けてきた。

誰にも相談する事も出来ずに、ずっと胸の奥に無理矢理押し込んで隠してきた。


だがそれももう限界な様な気がして、それでもどうする事も出来ないでいる。


どうか…どうかもう、これ以上溢れ出して来ないで…。


神にでも祈る様な願いは、いったいいつまで続くのだろう。


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