おまけ

□希望の記憶 (おまけ)
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日が上り、朝がやってきた。


今まで真っ暗であった部屋も照らされ、トランクスを眠りから目覚めさせる。



「.........」



トランクスはゆっくりと上半身を起こし、まだ視点の定まらない目で辺りを見渡す。

いつもとは見慣れない部屋の様子に、トランクスは首を傾げた。



「オレはーー」



一体、自分はいつ眠ってしまったのだろう。

頭を掻きながら下を向くと、自分の直ぐ隣には見知った人物がまだ眠っていた。



「...ぁっ、!」



思わず大声を出しそうになった自分の口を慌てて押さえ、くぐもった声を上げるトランクス。

そして頬を染めながら、その人物から視線を逸らした。



『ーーそうだった...』



トランクスはまだ熱の引かない顔のまま、またその人物を横目で盗み見る。



「...悟飯さん。」



押さえていた手を離し、まるで昨夜の事を思い出すかの様にトランクスは自分の唇を指先でなぞった。そして更にまた、頬を染め俯いた。


まるで...昨夜の出来事が夢の様に思えてしょうがないのだ。

だがこの唇に触れた感触も温もりも、今でもはっきりと覚えている。



「ーーまるで百面相だね。」



ずっと静まり返っていた部屋に、眠っているはずの悟飯の声が響き渡る。

その声はとても静かで穏やかなものであったが、トランクスの心を動揺させるには十分であった。


トランクスは思わず背筋を伸ばし、恐る恐る振り返る。

そこにいたのは案の定悟飯で、ベッドに肘を付きながらトランクスを見上げていた。



「ご、悟飯さん...」


「おはよう、トランクス。」



悟飯はいつもの様にニコリと微笑み、トランクスを見つめている。



「おはよう...ございます。」



トランクスは困った様に俯き、必死に言葉を繋いだ。

どう言う目で悟飯を見て良いものか、正直困ったものである。



「もう起きるのかい?」


「えっ」


「まだ5時だよ?もう少し眠ってたって良いじゃないか。」



不服そうにそう言う悟飯の言う通り、まだ時計の針は午前の5時を示している。


しかしまた眠るのは良いとして、悟飯がこちらに来いと手招きしている事が気掛かりでしょうがなかった。



「な...何ですか?」



分かってはいたものの、トランクスは取り敢えず悟飯に尋ねてみる。すると悟飯は不思議そうに首を傾げた。



「何って...寝るなら一緒に寝ようよ。」


「!」



やっぱりか!トランクスは思わず後ずさった。



「ーートランクス?」


「えっ...ええっと...。」



今更何を恥ずかしがると言うのか分からないが...一緒に寝るのが妙に気恥かしい。

そりゃあ幼い頃悟飯と一緒に良く眠っていはいたが、あの頃と今は状況は全く違う。


同じ様に眠るのは、やはり今の自分には無理だった。



「その...恥ずかしくて眠れそうも無いので、遠慮します。」


「...恥ずかしい?」



悟飯は首を傾げた。何かを考えるかの様に天を仰ぎ、そしてまた笑顔で返す。



「じゃあ、寝れなくても良いからこっちにおいでよ。」


「.........。」



トランクスは困った様に顔を下げた。そう言えば昔から悟飯は、どこか強引な所がある。

嫌だと言っても無理矢理一緒に風呂に入れられたり、詳細を知らされず強引にどこかに連れていかれたり、思い返せば色々なことがあった。



『そうだ...忘れてた...。』



幼い頃からまるで刷り込まれるかの様に習ったこの教えを、今更になって思い出した。

そしてこう言い出したらどんな事があっても避けられない。


トランクスは真っ赤になった顔を隠す様に俯きながら、悟飯へと近づいていった。



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