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□試験勉強を極限にする了平
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「了平、手ぇ止まってる。」


「む゛〜…。」


了平の部屋で試験勉強をする。二人の勉強道具が置かれているピンクの可愛らしい折りたたみテーブルは京子ちゃんに借りているもので、極限やらボクシングのポスターで飾られた了平の部屋にはかなり不似合いだ。


「どこがわかんないの?」


「ここらへんがわからん。」


テスト対策プリントの右半分をくるりと人差し指で囲む了平は眉間に皺を寄せて困り切った顔で、しょうがないと腰を浮かせて前屈みになって問題を見てみる。さらり、と髪が横に流れた。


「ナマエ、いいにおいがする。」


悩ましげだった了平の顔は、笑顔になって私の首元に顔を埋めるように近づいた。


「バカ、変なことしないで勉強して。青葉くんに、勝つって宣言したでしょ。」


「…………う゛。」


試験勉強を極限にする了平



近づいてきた顔にどきりとして顔が真っ赤になって、問題を見る振りをして顔を下げ、了平の顔を押しのけた手にも熱がはらんでいたことは私だけの秘密になってほしい。


「極限にわからんっ!!」


「極限に頑張って。」




 

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