45cm差の恋
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和くんと緑間くんに連れられてバスケ部が部活をしてる体育館に着いた。
「ちわーす!…あ、大坪さーん!こいつ見学させといてもいいっすかー??」
『え!?あの、和くん!?じ、邪魔になるから帰るってば!!』
そういってなぜか和くんに掴まれてる腕を離してもらおうと、和くんの手をどかそうとした。が、その試みは無意味に終わった。何故かというと、目の前に立った大坪先輩(?)がいいぞ、と言ったからだ。
「俺は男バスの主将の大坪だ。高尾から話は聞いてるぞ。幼なじみらしいな?」
『え、えと、和くんとは幼なじみです…』
大坪先輩に話しかけられて答えたはいいものの、だんだん語尾が小さくなってしまった。恥ずかしい…
下を向いて恥ずかしいのを隠していると、緑間くんに、
「紺野、こっちに来るのだよ」
と言われ、緑間くんが向かう方についていった。
少しだけ歩くと、ここに座って見ているのだよ、と言われベンチに座らされた。ここに座っていいのかな?…なんか悪い気がする。やっぱり立ってよう。そう思ってベンチから立つと、声をかけられた。
「そこ、座ってていーぜ?見学来たんだろ?」
「俺らどうせ練習で座ってらんねーし、座ってろよ」
『あ、ありがとうございます…』
2人は私に軽く自己紹介してくれた。宮地先輩に木村先輩かぁ…優しいなぁ…そう思ってると、和くんが結香ー、って言いながらこっちに来たから、返事がてら手を振ってみる。
『和くん!私、ここで見てるね!』
「おう!俺だけ見ててもいーけど、真ちゃんも見ててみ?まじスゲーから!」
うんわかった、と返していると、さっきの先輩たちが、和くんに向かって、
「なに?お前があの子連れてきたの?うわ何お前轢くぞ」
とか物騒なことを言っていた。そのあともなにか言ってたみたいだけど、聞こえなかった。和くん轢かれちゃうのかな?
「練習はじめっぞー」
大坪さんの一言ですぐに練習が始められる。
先輩も和くんも上手いなー、とか思って見ていると、緑間くんがシュートを打ったのが見えた。ボールを目で追っていくと、きれいな弧を描いてリングに吸い込まれていった。すごい。あんなに綺麗にはいるなんて。
「結香ー?おーい、結香!」
『…あ、ごめん和くん、何?』
「いや何って訳じゃないんだけど…俺ら練習終わったし、結香ボーッとしてたから、ってもしかしてあれに見入ってたの??」
そう言って和くんは緑間くんを指差す。うん、見入っちゃってた、と控えめに笑えば、あれ綺麗だもんなーと和くん。和くんもかっこよかったよ、と言うとありがとな、なんて言って頭を撫でてくれる。
しばらく和くんと話してると、緑間くんも練習終わらせたらしく、「高尾、紺野、帰るぞ」と言ってきた。
『緑間くん、シュートすごかったね』
「…ふん、俺は人事を尽くしているからな」
「真ちゃんってば、素直にありがとうって言えばいいのに〜」
「うるさいのだよ高尾!」
『ふふっ、2人とも仲良いんだね、羨ましい…』
「何を言っているのだよ、俺らはその…と、友達だろう?」
『あ、え、…ありがとう?』
「なんで疑問詞なのだよ」
こんな会話をしながら3人で帰る。和くんもいるし、なんかすごく安心していられた。