Meteorite Road

□第1話
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第1話 【スグル 12歳】


柊 優は12歳。
父はポケモンの研究をしていて、母はいたって普通の主婦。
優しい父と母に育てられたスグルは、素直で好奇心旺盛。
トラックの中で揺られている間も、早く外の世界が見たいとウズウズしていた。

……ここはホウエン地方
かつては大地と海が美しい場所だった
しかし、三年前のホウエン大災害
隕石により、一時は変わり果てたこの地方
人々はポケモンと力を合わせ
この地方をまた人が暮らせるまでに復興させた。

スグルは、今日からホウエン地方に住むことになった。
ミナモシティから、引越し屋のトラックの中で荷物と共に揺られながら
新しい住居のあるミシロタウンにやってきた。

目的の場所についたのかトラックが静かに止まり、コンテナの扉が開いた。

「スグルくん、お疲れ様。ここがミシロタウンだよ」
運転手を務めていた従兄弟のシンヤが言った
スグルはトラックから飛び降りると、外の眩しさに目を細めた

「ここが…ミシロタウン…」
「うん。そして、ここがお家だよ」

そこには、まだ新しい一軒家。
二階建てのわりと大きな家だった。
今まで狭い研究員寮に住んでいたので
こんなに大きな家に住めるのかと考えていると
玄関から母が出てきた

「スグル、シンヤくん、お疲れ様。ごめんねシンヤくん。ミナモシティからここまで、運転大変だったでしょ」
「いやぁ。このバイトは二年やってるんで、もう慣れっこです」
「母さん母さん、早く中が見たい!」

スグルは新しい我が家の内装が早く見たくて母に催促する

「はいはい。シンヤくんも上がって。まだ片付いてないけど、椅子ぐらいならあるから」
「ありがとうございます」

スグルは我先にと家の中に入った
すると、目に入ったのは黄色い体に美しい肉体のポケモン……

「うわぁっ!ゴリチュウだ!」

スグルは初めて見たゴリチュウに目を輝かせる。
隕石災害の後、ピカチュウが進化するようになった新種のポケモンで
スグルもテレビのバトル番組でしか見たことがなかった

「これ、シンヤ兄さんのポケモン?」
「いや、業者のポケモン。仕事ができるように訓練したやつらを貸し出ししてくれるんだ。」

業者でこんなポケモンを貸し出しているのかと、スグルは少し感心した。

「そうだ。スグルの部屋に引っ越し祝いに貰った時計を置いてあるから、
 時間を合わせてきてくれる?」
「俺の部屋に?」
「うん。二階に上がってすぐの部屋だからね」
「わかった!」

スグルは母親から電池を受け取ると
嬉しそうに階段を駆け上がっていった。
テレビ、ベッド、それからパソコンとゲームがすでに置いてあるその部屋に
見覚えの無い青色の時計があった。
真新しいそれはAM10時を示したまま動いていない。
スグルは時計の時間を腕時計の時刻と合わせ、電池を入れた。
カチ、カチと時計はゆっくり時を刻みはじめた。
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