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□深海少女
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私は兄貴の部下と戦った後、夜兎の血に飲み込まれた。もう、話すことすら億劫。このまま、兄貴のように飲み込まれ、みんなと笑いあうことは、出来ないのかな・・・・・・。
夜兎の血に飲み込まれかけている私は、どこへ向かえばいいのかわからなくて・・・・・・。
ふと、見覚えのある光が目に入る。声をかければ、手を伸ばせば、返事をしてくれそうだけど・・・・・・。
私の血が、兄貴の言葉がそれを打ち消した。
あれは、一体なんだったのだろうか・・・・・・。
あの頃は、暖かくて眩しいぐらいに輝いていた
無意識のイルミネーションのように過去を振り返る。嘘をついているの誰?
「やあ、神楽!」
「か、神威・・・・・・なんで・・・。」
「神楽、一緒にこないかい?阿武兎と戦って血が覚醒してしまったんだろう。もう、お前の血を抑えることはお侍さん達には無理なんだよ。」
(あなたはまだ私を落とすのですか・・・。だけど、私はまだ・・・・・・)
と私は逃げた。
その日から、私は眠れない夜が続く。
兄貴と一緒に行くことを決めた私。銀ちゃんたちは、ただ「自由に生きろ」と笑って言ってくれた。自由に走り回るあの頃の私たちは綺麗でした。
そして、船の待ち時間に窓から走り回るあなたを見つけた。相変わらず、トッシーを追いかけていた。やはり、そんなあなたも格好良くて輝いていて、見とれていたら目があった。気付いてこっちを振り返ったあなたに私はまた嘘を付いた。
一人暗闇の中で目を赤くする。本当の気持ちを見せたくても、それを私の血が許さない。
「お前何やってるんでぃ!!」
「サド・・・・・・」
「お前は、血に勝つために地球にいたんじゃなかったんですかい!?」
「もう放って置いてヨ!!こんなに手は赤く汚れていて、顔も酷く歪んで・・・・・・。誰にも見せる顔なんてないの!!」
私は声にならない気持ちがとうとう溢れて、サドにぶつけてしまった。
「神楽?行くよ?」
「うん。サド・・・・・バイバイ」
兄貴が迎えに来てあなたの姿は見えなくなった。暗闇に残された私は焦った。あなたを闇が隠し独りきり・・・・・・。
「怖い・・・怖いよぅ・・・・・・サドォォォォ」
私はもう限界でその手を伸ばす。
「大丈夫でさぁ。ここにいる、ここでいやすぜぃ」
私は腕を引かれサドの腕の中に入った。私はその時ようやく楽になれたんだ。そう思った拍子に私は涙が溢れてきた。それでも、サドは優しく抱きしめてくれていた。
兄貴はまた知らないうちに姿を消していた。しかし、後日「神楽、頑張れ」と書かれた手紙が私の元に届いた。ちなみに、サドには脅迫状が届いたらしい。
銀ちゃんは、優しく撫でてくれた。新八と姉御は「おかえり」といってくれた。
私は笑顔で言った。
「ただいま!!」
深海少女
(ほらねぃ、お前も素敵な色を隠してたんでさぁ。)