long story
□第4話
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『は〜あ。今度はいつ会えるかなぁ、王子様』
「その王子様とやらは警察なんだろ?じゃあアンタが事件起こしゃ会えるんじゃないの」
「ばーさんいいこと言うアルな。よし、花ちゃん、私がアイツらに合わせてあげるヨ!」
『ほんとっ?神楽ちゃん!』
「楽勝アル。とりあえず今から野郎を暗殺しに行って……」
『だ、ダメダメダメーッ!王子様だけはダメ!暗殺するなら他の人にして!』
カチャリ。
どこから取り出したのか、怪しげなサングラスを装着して紫色の傘を担ぐ神楽。
花は慌てて『ダメ!』と両腕で“×(バツ)”を作る。
「ていうか花ちゃん、“他の人にして”ってサラリと何恐ろしいこと言ってんの!?」
口許を引き攣らせる新八の言葉など、頭の中が王子様一色な花の耳には入らない。
それどころか『他の消えても誰も気づかないような影薄い人がいいよ』なんて、容姿に似つかわしくない黒い台詞を言ってのける彼女。
『例えば……ほら、新八くんとか!』
「は?僕!?」
『お願い、新八くん…!』
天然なのか計算なのか、胸の前で両手を組んで懇願するように見上げる花。
彼女は小悪魔タイプにちがいない。
あまりの可愛さに一瞬言葉を飲み込んだ新八だが、“お願い”の内容が内容なだけに、やすやすと了承などできるわけもなく。
「無理だよ!」
それに僕はお通ちゃん一筋なんだ、他の女の子に揺らぐなんて……!
『チッ。お前なんかお通のケツの穴から出て死んじまえ』
「花ちゃんんんんん!?なんかキャラ変わっちゃってるんですけどォォ!?」
腕を組み、ペッ!、と唾を吐き出す花。
愕然と固まる新八の横で、今度は神楽が口を開いた。
「ダメアルよー花ちゃん。新八は万事屋に必要アルから」
「神楽ちゃん……!」
「でもそのうるさい“眼鏡かけ機”なら問題ないアル」
「え゙!?」
上げて落とす、とはまさにこのこと。
ただよう殺気に身の危険を感じた新八は、ジリジリと後ずさる。