long story

□第3話
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「オイオイ、またターミナルから宇宙生物(えいりあん)侵入か?最近多いねェ」



テレビの前にしゃがみ込み、大して心配も何もしてなさそうな声音で呟く銀時。



「宇宙生物より、今はどーやって生計たてるかの方が問題スよ」



そんな彼に頭を押さえながら疲れたように新八はため息を吐いた。と、その時。


――――ピンポーン。


チャイムの音が部屋の中に響き渡った。その瞬間。


ダダダダダッッ!!!



「金ならもうねーって言ってんだろーが腐れババア!!」



またお登勢が家賃の催促に来た、と思った銀時はドガッッ!!、勢いよく扉を蹴破った。


――――しかし。



「…………あれ?」



銀時の足がクリティカルヒットしていたのは、サングラスをかけた厳つい男の顔だった。


―――ドサッ!、後ろに倒れた彼に周りにいた二人の男たちが悲鳴を上げる。



「局長ォォ!!」


「貴様ァァ!!何をするかァァ!!」


「スイマセン間違えました。出直してきます」


「待てェェェ!!」



――――カチャ。


小さく金属音がし、家の中に退散しようとしていた銀時の後頭部に冷たく固いものが押し付けられる。



「貴様が万事屋だな!我々と一緒に来てもらおう」



男の言葉にスウッと目を細めた銀時は、口角を上げて少しだけ振り返った。



「…わりーな。知らねー人にはついていくなって母ちゃんに言われてんだ」


「幕府(おかみ)の言う事には逆らうなとも教わらなかったか」



銀時に蹴りをくらってさっきまでのびていたグラサン男がむくりと起き上がる。



「オメーら幕府の……!?」


「入国管理局の者だ。アンタに仕事の依頼に来た、万事屋さん」



鼻血を垂れ流しながら、グラサン男は意味深にニヤリと笑った。



――――――――
―――――――――……



「入国管理局の長谷川泰三(はせがわたいぞう)っていったら、天人の出入国の一切を取り締まってる幕府の重鎮ですよ」



乗せられた真っ暗な大きな車の広い後部座席、新八がコソッと囁く。



「重鎮(じゅうちん)?重鎮って何アルか。十個のチンチンアルか?」


「ちげーよ、獣のチンだ」


『なるほどー』



銀時の自信ありげなその様子に、感心したように頷く花。
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