long story
□第2話
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『ちょっ……大丈夫ですか!?』
花は慌てて二人に駆け寄る。
死んでない!?死んでないよねっ!?
『二人ともっ…』
二人は伸びてしまっていた。
『しっかり――』
してください、と花が言おうとした時だった。
「銀ちゃん?新八?何してるアルか?」
突然可愛い声が聞こえて、びっくりした花は勢いよく顔をあげる。
「ひなたぼっこ?」
そこに立っていたのは、紫色の日傘をさした、色白の可愛い女の子だった。
彼女はスッとしゃがみ込み、二人の顔を覗き込む。
「気持ちいいアルか?」
よくよく見れば、彼女は何かをくわえている。
『………』
髪型とか服とか話し方とか、この子中国人みたいだなぁ…。
目の前の少女をぼーっと見つめていた花だけど、少女がペチペチと伸びている二人の頬を容赦なく叩くその姿に我に帰った。
『あ、あの、あんまり強く刺激しない方が――』
「ん?」
花の声に、今初めて気がついたように少女は視線を上げる。
「…お嬢さん、お客さんアルか?」
『え?あ、まあ一応…』
「銀ちゃん、新八ィ!!お客さんアル!!」
花の言葉を最後まで聞かずに、少女はいきなり傘で二人を殴り出す。
「早く起きるアル!!」
『(ひぇぇ……)』
どうやら少女は彼らを起こそうとしているらしかった。
しかし二人が起きるわけがない。
「おかしいアル…全然起きないヨ」
殴るのをやめて、少女は首を傾げる。
そんな彼女の前には、見るも無惨な姿をした二人が先程よりもさらにボロボロになって横たわっていた。
『(今度こそ死んじゃったんじゃない……?)』
「まあいいさネ」
少女は呟くと、次の瞬間。
「私が運ぶヨロシ」
ガッと二人を抱え上げ、少女は立ち上がった。
花はそんな彼女に目を見張る。
『(すごいこの子…。男性二人も軽々と持ち上げちゃうなんて)』
「お嬢さん」
固まる花を振り返って少女は言う。
「どうぞ上がってくださいアル」
『……!はい、ありがとうございます…!』
我に帰った花は、少女に続いて階段に足をかけた。